November, 5, 2021, Glasgow--グラスゴー大学(University of Glasgow)の研究者によると、デリケートなハイパフォーマンスエレクトロニクスを柔軟な表面に「スライド」できると、エレクトロニクスの将来の発展が可能になる。
研究チームは、コンタクトプリントの重要問題の1つを解決する方法を見いだした。エレクトロニクスを曲げられるプラスチック表面に埋め込んでフレキシブルな電子回路やデバイスを実現する方法である。
大量に同じデバイスを高信頼に再現できると、それは電子製品を開発し、それを市場に出すための決め手になる。コンタクトプリント技術は10年以上前から開発されているが、研究者は、プリントを精密配列し、要求される均一性を維持しながら、電子素子と表面とを繰り返し結合する信頼できる方法の実現に苦闘していた。
今回、同大学のBendable Electronics and Sensing Technologies (BEST)からMicrosystems & Nanoengineeringに発表された論文は、コンタクトプリンティング技術にスライディング動作を導入する方法が、非常に高精度で折り曲げ可能表面と剛性表面の両方へのナノワイヤ適用に役立つことを説明している。
チームは、多くのハイパフォーマンスセンサ設計ですでに使われているものに類似の酸化亜鉛ナノワイヤをラボの剛性表面に製造することから始めた。
そのシステムにより、チームは、2つのフラットプラットフォームの動きを機械的に制御できる。これは、移転をスムースにし正確な配列を確実にするように回転できる。プラットフォームの動きは、両掌を合わせて滑らせ、離すことに類似している。フラットな物体は、片方の掌に握られ、そのプロセスで他方へ渡される。
ドナーとレシーバ表面は、2つのプラットフォームの間にあり、これらは慎重に制御された配置により結合する。そのシステムによりチームは、それらが滑って離れる彩に、表面上の横力と剪断力に対する正確な制御を維持できる。これが、ナノワイヤをフレキシブル表面へきれいに移転するカギである。
プロセス中、加えられた圧力のパラメタで実験後、チームは走査型電子顕微鏡を使ってコンタクトプリントの品質を精査した。各プリントで、10平方センチメートル程度の範囲をカバーしていた。
表面上の名のワイヤの整列は高いレベルの均一性であり、これは、新しいプロセスが、次のフレキシブル表面へのナノワイヤの大規模コンタクトプリンティングに有用であることを示唆している。
グラスゴー大学のJames Watt 工学部教授、Ravinder DahiyaがBESTグループを指導している。
Dahiya教授は、「これはシンプルであるが効果的な技術であり、これまでのコンタクトプリンティングの主要問題の1つに対処する大きな可能性がある」と言う。
「論文は、相対的に小さな領域に高信頼にプリントするシステムの能力を説明している。われわれが構築したプリンティング装置のサイズに制約されるだけだからである。同じプロセスが、遙かに多くの表面領域で機能すると考える十分な理由が存在する。したがって、これまでは達成困難であったレベルの再現性で、大規模フレキシブルエレクトロニクスの製造が可能になる。
「論文は、酸化亜鉛ナノワイヤを利用してその技術を実証しているが、その方法は、シリコンのような材料を使うプリント集積回路の製造に利用できる。その新システムは、層ごとのプリンティングをサポートしているので、垂直統合回路の開発が可能になる。
「この研究と並行してわれわれは、半導体をフレキシブル表面に高信頼移転する新しい方法も開発した。われわれのダイレクトロールプリンティングと新しいスライディングプロセスをプリントされた半導体マイクロおよびナノワイヤに統合することで、ハイパフォーマンスフレキシブルエレクトロニクスに多くの新しいアプリケーションが始まる。
「これに含まれるのは、義肢に高度な触覚を附与すること、あるいは病院の患者のバイタルサインの正確な追跡のための先進的なウエアラブルデバイス、あるいは自己充足、完全に曲げられるデジタルディスプレイの新形式である」
チームの論文タイトルは、以下の通り。
‘Development of a highly controlled system for large-area, directional printing of quasi-1D nanomaterials’, is published in Microsystems & Nanoengineering and is available at https://www.nature.com/articles/s41378-021-00314-6
(詳細は、https://www.gla.ac.uk/)