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バーチャル組織学アプローチ、手術中に組織分析の基礎作り

November, 4, 2021, Edmonton--カナダのアルベルタ大学の研究チームは、高分解能仮想顕微鏡画像を生成する方法を開発した。これにより時間のかかる染色処理なしで組織の詳細な可視化が可能になる。このアプローチは、結果を数日待つのではなく、手術中の組織病理学分析実施能力への重要な一歩である。

「従来の組織学で、細胞核と細胞質は、ヘマトキシリンとエオシン(H&E)として知られる染料を適用することで区別される。われわれのバーチャル組織学アプローチは、従来のH&E染色アプローチと厳密に一致する電子彩色で、高分解能核酸と細胞質を生成する」とカナダ、アルベルト大学、研究チームリーダー、Roger J. Zempは説明している。

Optics Lettersに発表された論文でチームは、初のラベルフリーバーチャルH&E組織学イメージングを報告している。手術中の診断実施に必要な分解能、スピード、リアリズムを備えたイメージングである。組織病理学分析は、腫瘍が完全除去されているかどうかを判定するためによく利用される。結果が、ガン細胞が残っていることを示しているなら、患者は、それらの細胞除去のために再度手術が必要になる。

「われわれの考えでは、バーチャル組織病理学は、術中設定で切除したばかりの腫瘍組織について利用可能であり、医師に直接的フィードバツクを提供する。これは、手術反復の必要性を減らす可能性があり、個々の患者の予後改善、ヘルスケアコスト低減となる」(Zemp)。

コントラストを作る
新しいイメージング法は、研究グループの以前の研究に立脚している。そこでは、研究グループは、UV光を使って組織サンプルから細胞核情報の抽出に成功した。しかし、従来の組織学をバーチャルバージョンで置き換えるには、細胞核と細胞質の両方を見る方法が必要になる。

これを達成するために、チームは、パルス紫外光と非パルスNIR光とを組み合わせた。その組合せが、細胞質と細胞核の両方についての詳細を含む画像を提供するので、染色なしで高分解能ハーチャル組織学画像の生成が可能になった。

「NIR反射は、細胞質バックグラウンドについての情報を明らかにする」と論文の筆頭著者、Nathaniel Havenは言う。「パルスUV光がシステムに結合されると、それは細胞核に吸収され、NIR反射に鋭い変化が生じ、細胞核の詳細が、背景の細胞質から抽出できる。UVビームは、反射情報を提供するように操作も可能である。反射情報は、単なるNIRビームでできるよりも遙かに高い分解能で細胞質の詳細を生成するために使える」。

しかし、サンプルのシングルポイントで反射を計測するためにナノ秒パルスUV光を使うことは、今日の画像取得システムでは簡単ではない。この問題を克服するために研究グループは、カスタムピークディテクタ回路を利用した。これは、十分にサンプリングできるように反射計測のピーク値を維持する。チームは、バーチャル画像に実際的な色を適用するカラーマップマッチングアルゴリズムも開発した。これにより医師は、画像をリアルタイムで直感的に解釈できる。

乳ガンのイメージング
研究チームが以前に達成したものと比較して、新しいアプローチは、細胞質の画像を5倍改善し、バーチャル組織学画像で、細胞核と細胞質が均一な解像度となる。

その技術を実証するためにチームは、人の乳房腫瘍摘出からのサンブルのバーチャル組織学画像と従来の組織学画像とを比較した。結果は、染色されていない組織のバーチャルH&E画像が、本物のH&E染色セクションと酷似していることを示していた。チームは、バーチャル画像に関心のある病理学者の診断特性ノートをつけることでバーチャルアプローチの予備の診断ユーティリティも評価した。

「われわれが病理学者から得たフィードバックはポジティブであった。将来の評価研究が成功すると、このアプローチは、いずれ、従来の組織病理学を置き換えることになるとわれわれは考えている。時間的に制約があるPOC生検分析やガン手術などのアプリケーションの場合である」(Matthew Martell)。

研究チームは現在、バーチャル組織学アプローチと従来の組織学を使用するアプローチに基づいて統計的に診断を比較する単純盲検試験を実施している。チームは、人工知能(AI)技術を使って検査のための領域を解釈し注意を与えるようにしたいと考えている。これにより組織検査は大幅にスピードアップする。