October, 27, 2021, 東京--東芝は、量子暗号通信システムの主要構成機能である、量子暗号鍵の「送信」、「受信」とそのための「乱数発生」について、従来の光学部品による実装に替えて光集積回路化した「量子送信チップ」、「量子受信チップ」、「量子乱数発生チップ」を開発し、これらを実装した世界初の「チップベース量子暗号通信システム」の実証に成功した。
このシステムは、光集積回路を用いることで、多くの光学部品を複雑に組み合わせて構成していた従来のシステムと比較し、小型化を実現した。光集積回路は標準的な半導体製造技術を用いて量産できるため、大規模な量子暗号通信システムだけではなく、より多くのシステムの構築が可能となる。これにより、大規模なシステム構築が必要な金融分野や医療分野に限らず、社会インフラ関連のプラントのIoT機器によるモニタリングや、工場間での設計・製造データの共有における産業情報の秘匿化といった領域まで、量子暗号通信の適用範囲を拡大することが見込める。東芝グループは、この成果の2024年の実用化に向けて研究開発を進め、安心して情報をやり取りできる情報社会の構築に貢献する。
研究成果の詳細は、10月21日に発行された、国際学術誌Nature Photonicsに掲載された。
(詳細は、https://www.global.toshiba)