October, 22, 2021, Melbourne--La Trobe大学で開発された革新的顕微鏡スライド、NanoMslideは、医療イメージングの変革に有望である。研究チームは、それが患者の乳ガン検出に使えることを実証した。
Natureに発表された研究は、従来の顕微鏡スライド表面をナノスケールで改良することで、生物学的構造や細胞が、目立つ色のコントラストとなり、病気の即時検出に使える。
プロジェクトリーダー、Brian Abbey教授は、La Trobe大学で協働開発者Dr Eugeniu Balaurとともに過去5年を費やしてその技術を開発した。
「組織イメージングの現在のアプローチでは、病理学者によるガン細胞の発見は難しい。サンプルの中には誤診のリスクをともなうものもある。特に、病気の早期ステージである。
ナノテクノロジーにおける最近のブレイクスーによりわれわれは、光と生体組織の相互作用を操作できる。目的は、異常な細胞が、健全な細胞とは違う色を持つようにすることである。われわれのスライドの色と従来の染色との比較は、以前の白黒TVを見ていてカラーテレビを見るようなものである」。
研究では、La Trobe分子科学研究所の研究者が、共同研究リーダー、Belinda Parker准教授のグループと協力して、その新技術を早期乳ガンの診断の一助として試した。
Parker准教授によると、現在の技術では、乳ガンの早期形態を良性病変から区別するのは難しい。特に、複雑な組織に異常形状の細胞があまり多くない場合である。NanoMslideは、そのような診断を遙かに容易にする。
「ガン細胞は、周辺組織とは異なる色であり、周辺細胞からそれらを区別することは極めて容易だった」(Parker)。
同氏によると、NanoMslideは、現在使用されている既存の染料を補完し、一貫したガン診断ができるようにする。
「NanoMslideによるわれわれの予備的成果に基づくと、このプラットフォームは、早期乳ガン診断に実に有用であるばかりか、複雑な組織、あるいは血液サンプルからわずかなガン細胞を取り出そうとしているところでは、他のガンでも有用であると考えられる」(Parker)。
(詳細は、https://www.latrobe.edu.au)