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VCSEL共振器で初のトポロジカルレーザ

October, 15, 2021, WÜRZBURG--ct.qmat Cluster of Excellenceのイスラエルとドイツの研究者は、砂粒サイズ、トポロジカルレーザネットワークを開発した。成果は、Scienceに発表された。

研究チームは、単一レーザのように動作する表面発光レーザネットワークを作る方法を開発した。砂粒サイズ、高効率レーザネットワークである。

モバイルフォーン、自動車センサ、光ファイバネットワークのデータ伝送、マイクロレーザ、いわゆるVCSELは、すでにわれわれの日常技術にしっかりと根付いている。広範に使われているが、VCSELデバイスは一般に小さく、わずか数マイクロメートルサイズである。これが、生成できる出力を厳しく制限する。何年もの間、研究者は、多数の微小VCSELsを統合して、そのようなデバイスのパフォーマンスを高めようとしたが成功しなかった。目的は、単一のコヒレントレーザのような動作であった。今回のブレイクスルーは、異なるコンセプトをベースにしている。それは、チップ上にレーザの独自の幾何学的配列を使う、つまりフォトニックトポロジカルアイソレータプラットフォームである。

トポロジカルアイソレータからトポロジカルレーザへ
 トポロジカルアイソレータは、内部を遮断し、その表面で、損失なく電気を通す革命的量子材料である。数年前、Mordechai Segev をリーダーとするTechnionグループが、フォトニクスに、この革新的アイデアを導入した。結果として、研究者は、電気ではなく、光が2D配列導波路の端で回転する初のフォトニックトポロジカルアイソレータを実証することができた。欠陥、無秩序によって損なわれることはない。

これは、今日「トポロジカルフォトニクス」として知られる新しい研究領域を開いた。現在、世界中で数百のワーキンググループが研究を続けている。2018年、同じイスラエルのグループが、多くのマイクロリングレーザ結合し、一つのレーザとして機能させるために、フォトニックトポロジカルアイソレータの特性をアレンジする方法を見いだした。しかし、このシステムには問題もあった。フォトニックチップで光が回転し、光を外に取り出すために使われる同じ平面に閉じ込められた。即ち、システム全体が、いわゆる出力カプラによって、再びそのパフォーマンスで制約され、あたかも発電所全体に1個のソケットを備えただけのようであった。現在のブレイクスルーは、異なるスキームに基づいている。

新しいトポロジカルレーザへの長い行程
イスラエルとドイツのチームは、VCSELマイクロレーザでトポロジカルフォトニクスのコンセプトを利用する方法を見つけ出した。これらのレーザが、表面から光を放出し、同時に、相互コヒレンスに関与するトポロジカルプロセスがチップの表面で起こる。最終結果は、強力であるが非常にコンパクトで効率的なレーザ。これはレーザ素子の数に限定されず、欠陥あるいは温度変動の影響を受けない。

「このレーザのトポロジカル原理は、基本的に全ての波長で機能する、したがって、幅広い材料で機能する」とブルツブルク大学(University of Würzburg)、Sebastian Klembt教授、ドイツプロジェクトマネージャは説明している。同氏は、ct.qmat cluster of excellenceの一部。光と物質およびトポロジカルフォトニクスにおける相互作用研究( Complexity and Topology in Quantum Materials)。「いくつのマイクロレーザが配置され,相互作用するかは、まさに可能なアプリケーションに依存する。原理的に、われわれはレーザネットワークのサイズを大幅に拡張できる。数学の1分野であるトポロジーが拡大され、レーザ特性のモニタリング、制御、改善のための革命的な新しいツールキットに発展したことは、実に素晴らしい」同氏はコメントしている。

その研究は、VCSELレーザを統合してよりロバストで高効率のレーザを実現できることを、まさに初めて理論的、実験的に示した。研究の成果は、医療デバイス、通信、多様な実用的アプリケーションの分野における多くの未来技術に道を開くものである。

(詳細は、https://www.uni-wuerzburg.de)