October, 13, 2021, Raleigh--ノースカロライナ州立大学の研究チームは、スピントロニック配置で生成されたテラヘルツ放射の方向制御ができるデバイスで、2Dハイブリッド金属ハロゲン化物を利用した。デバイスは、従来のTHzジェネレータよりも信号効率が優れており、薄く、軽量、安価に製造できる。
テラヘルツ(THz)は、マイクロ波とオプティカルの間の電磁スペクトル(100GHz~10THz)の一部であり、高速コンピューティングや通信から高感度検出装置までのアプリケーションで有望視されている。しかし、信頼度の高いTHzデバイスの実現は、サイズ、コスト、エネルギー変換の非効率により、困難である。
NC State物理学准教授、Dali Sunは、「ソーラセルやダイオードに一般に使われている2Dハイブリッド金属ハロゲン化物が,スピントロニクスと連動して、THzデバイス実現の要件を満たす可能性がある」と指摘している。
問題の2Dハイブリッド金属ハロゲン化物は、一般的であり、合成ハイブリッド半導体、ブチルアンモニウムヨウ化鉛で商用利用されている。スピントロニクスとは、エネルギー生成のために単に電荷を利用するよりも電子のスピンを制御することである。
研究チームは、アルゴンヌ国立研究所、オークランド大学などとともに、2Dハイブリッド金属ハロゲン化物を強磁性金属と層化したデバイスを作製し、それをレーザで励起して、超高速スピン流を作った。これが、次にTHz放射を生成する。
チームは、2Dハイブリッド金属ハロゲン化物デバイスが、現在使用されている大きくて重い、高価なTHz生成エミッタよりも性能が優れていることを確認した。さらにその2Dハイブリッド金属ハロゲン化物の特性により、THz透過方向の制御も可能であることも確認した。
「従来のTHzトランスミッタは、超高速フォトカレントをベースにしていた。しかし、スピントロニック生成放射は、より広い帯域のTHz周波数となり、THz放射方向は、レーザパルスのスピード、電界の方向を改良することで制御可能である。これは、今度はマグノン、フォトン、スピンの相互作用に影響を与え、方向制御が可能になる」(Sun)。
Sunによると、この研究は、2Dハイブリッド金属ハロゲン材料を他のスピントロニックアプリケーションで利用する可能性の探究の第一歩となる。
「ここで使用されている2Dハイブリッド金属ハロゲンベースデバイスは、小さく、製造がより経済的であり、ロバストで、高温での動作良好である。つまり、2Dハイブリッド金属ハロゲン材料は、THzアプリケーション向けでは、従来の半導体材料よりも優れていることの証明である」(Sun)。
(詳細は、https://news.ncsu.edu/)