October, 8, 2021, 香港--香港科学技術大学(HKUST)の電子・コンピュータ工学部のKei-May LAU教授の研究チームは、新しい半導体成長スキーム、シリコンフォトニクス向けにSOIに成長させたハイパフォーマンスPDsを実証した。このIII-Vフォトディテクタ(PDs)は、シリコンフォトニクスの高速データ通信向けの候補と評価されている。この研究は、将来的にSOIプラットフォームでIII-V活性デバイス、シリコンベースパッシブデバイスのモノリシック集積に向けた実用的なソリューションを示唆している。
伸び続ける通信トラフィックが従来の電子的インタコネクションを限界に押しやりつつある。シリコンフォトニクスは、スケーラブルで高スループット製造とともに、高速と大きな帯域容量で差し迫った問題の解決のための有効技術と見なされている。ハイパフォーマンスPDsは、シリコンフォトニクス集積回路(Si-PICs)の重要な光要素。高速応答、低暗電流、大きな帯域、幅広い波長帯での動作などの特性に加えて、Si導波路との効率的な光結合やCMOS適合性もPDsには必要とされている。
III-V PDsは、その優れた性能により、以前からInPベースPICsに導入されてきた。最近、Siに成長させたIII-V PDsに対する関心から、SiへのIII-Vレーザ集積研究が盛んになり始めた。また、最終目標は、ハイパフォーマンスIII-VフォトニクスのSi-フォトニクスプラットフォームへの集積である。従来のブランケットヘテロエピタキシー法で実現されたSi上のIII-V PDsでは、欠陥低減のための厚いバッファ層がSi導波路との光結合を難しくし、これらのPDsの3dB帯域は、サブ-10GHz範囲に落ちることがあると報告されている。
HKUSTチームは、横アスペクト比トラッピング(ART)法を開発し、厚いバッファ不要でSOIにIII-V材料を成長させる。この方法でSOIに成長させたIII-V PDsの特徴は、面内にSiデバイス層を持つ構造であり、これによりPDsやSi導波路の集積が容易になる。チームが開発したモノリシックInP/SOIプラットフォームに、チームは様々なサイズでIII-V PDsを設計、製造した。そのPDsの特徴は40GHzを超える大きな3dB帯域、1550nmで0.3A/W、1310nmで0.8 A/Wの高応答性、400nmを超える広い動作波長スパン、低暗電流0.55 nA。光電流は、PDsの長さを変えることで様々なアプリケーション向けに調整可能。これらPDsとSi導波路とのインタフェース設計は柔軟かつ簡単である。
チームは、InP/SOIプラットフォームに成長させたIII-VフォトディテクタがSiフォトニクスにおけるPDsの厳しい基準を満たしていることを初めて実証した(Light: Science and Applicationに論文)。「サブミクロンのInPバーと大寸法InP膜の両方を備えたモノリシックInP/SOIプラットフォームの最新の開発によって、これは可能になった。デバイス物理学と成長メカニズムの両方に統合されたチームの専門技術と洞察により、エピタキシャル成長、材料特性およびデバイスパフォーマンスの相互相関分析という困難な作業が可能になった」とLau教授は説明している。
(詳細は、https://hkust.edu.hk)