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大阪大学、光を使って回路を操る

September, 27, 2021, 大阪--大阪大学産業科学研究所の植村隆文特任准教授(JST創発的研究支援事業・創発研究者、産業技術総合研究所特定フェロー兼任)、大学院生の田口剛輝(工学研究科博士後期課程、産業技術総合研究所リサーチアシスタント)、関谷毅教授らの研究チームは、オーストリアのJoanneum研究所のAndreas Petritz博士、Barbara Stadlober主任の研究チームと共に、光照射によるフレキシブル有機トランジスタ集積回路特性の制御技術の開発に成功した。

これまで、複数の有機トランジスタから構成される集積回路の作製と、その電気特性制御を実現するためには、制御用電極を付与した構造や、複数の界面修飾材料を個別に成膜するなど、複雑な構造、または複数の有機材料を使いこなす必要があった。

今回、研究グループは、光照射によって分子構造が変化する高分子材料を有機トランジスタの絶縁層として用いることにより、集積回路の特性を自在に変化させることに成功した。この技術は、単一のデバイス積層構造と、同じ有機材料の組み合わせで構成される有機トランジスタにおいて、光照射を行うことによってトランジスタの電気特性を自在に変化させる技術。複数の有機トランジスタから構成される集積回路の作製工程において、狙ったトランジスタのみを光照射によって制御することが可能であるため、従来方法と比べて飛躍的に簡単な工程と、少ない材料使用によって電子回路特性を制御することが可能。今回の研究成果により、無意識下のウェアラブル生体計測を例として、実空間のあらゆる対象物をセンシングする技術として開発が進められているフレキシブル電子回路の更なる高性能化が期待される。

研究成果は、独国の国際学術誌「Advanced Materials」に掲載された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)