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シリコン基板を用いた窒化物超伝導量子ビットの開発に成功

September, 24, 2021, 東京--情報通信研究機構(NICT)は、産業技術総合研究所、名古屋大学と共同で、超伝導材料にアルミニウムを使用しない超伝導量子ビットとして、シリコン基板上のエピタキシャル成長を用いた窒化物超伝導量子ビットの開発に世界で初めて成功した。
 この量子ビットは、超伝導体として超伝導転移温度が16 K(-257 ℃)の窒化ニオブ(NbN)を電極材料とし、ジョセフソン接合の絶縁層に窒化アルミニウム(AlN)を使用しエピタキシャル成長させた全窒化物の素子であり、ノイズ源である非晶質の酸化物を一切含まない新しい超伝導材料から成る新型量子ビット。今回、この新材料量子ビットをシリコン基板上に実現することで、平均値としてのエネルギー緩和時間(T1)が16マイクロ秒と位相緩和時間(T2)が22マイクロ秒のコヒーレンス時間が得られた。これは、従来の酸化マグネシウム基板上の窒化物超伝導量子ビットの場合と比べてT1は約32倍、T2は約44倍に相当する。

超伝導体として窒化ニオブを使うことで、より安定に動作する超伝導量子回路の構築が可能となり、量子演算の基本素子として、量子コンピュータや量子ノードの開発への貢献が期待される。今後、回路構造や作製プロセスの最適化に取り組み、更なるコヒーレンス時間の延伸、大規模集積化の実現に向けて研究開発を進めていく予定である。
 研究成果は、2021年9月20日(月)18:00(日本時間)に、世界的に権威のあるNature Research出版社の専門誌「Communications Materials」に掲載された。
(詳細は、http://www.nict.go.jp)