July, 16, 2014, Rehovot-- ワイツマン(Weizmann)研究所の研究チームは、シングルフォトンによってシングルフォトンのルーティングを可能にする単一原子ベースの量子デバイス、フォトニックルータを初めて実証した。これは、量子コンピュータ構築の難題を克服するための一歩前進である。
デバイスのコアに、2つの状態をスイッチできる原子がある。その状態は、光ファイバで右または左からフォトンを送るだけで設定される。それに応じて原子は、次の入力フォトンを反射するか透過させる。例えば、ある状態では、右から来るフォトンはそのまま左に進む、それに対して左から来るフォトンは反射されて戻り、原子状態を反転させる。この反転状態では、原子は左から来るフォトンを継続して同じ方向に送り、右から来るフォトンは反射して戻し、原子状態を再び反転させる。この原子ベースのスイッチは、シングルフォトンだけで動作し、外部の場は全く必要ない。
「ある意味で、このデバイスは電子トランジスタに匹敵するフォトニックである」と同研究所量子オプティクスグループのバラク・ダヤン博士(Barak Dayan)はコメントしている。フォトンは、情報フローを構成する単位であるだけでなく、デバイスの制御もする。
この成果は、2つの最先端技術の組み合わせで可能となった。1つはレーザ冷却と原子のトラッピング。もう1つはチップベース、超高品質微小光共振器の作製。この共振器は、直接光ファイバに接続されている。
量子コンピュータを開発する研究の背後にある主要な動機は、重ね合わせの量子現象。ここでは、粒子が一度に多くの状態で存在することができ、膨大な量のデータを並列的に処理する可能性がある。とは言え、重ね合わせは、何も観察できず、システムの計測もできないほどの時間しか存在できない。でなければ、それは崩壊して1つの状態になる。したがって、フォトンは量子システム間の通信で最も有望な候補である。フォトンは相互作用せず、他の粒子との相互作用は極めて弱いからである、と研究チームは説明している。
現在、実証したのは単一原子がトランジスタとして機能すること、つまりフォトンに対して2方向のスイッチとなること。しかし、将来的には新しい量子メモリやロジックゲートにこの種のデバイスを拡張していく、とDayan氏は話している。