September, 6, 2021, Lyngby--DTUの研究者は、新しいタイプのマイクロレーザ、Fanoレーザが、他のタイプのレーザと比較して基本的な優位性があることを実証した。その発見は、集積フォトニクスや光学センサなど多くの未来のアプリケーションにとって重要となる。
世界のエネルギー消費の増え続ける割合は、情報技術に使用されている、また容量需要の持続可能な成長を可能にするにはbit当たり超低エネルギーで高速データレートで動作するフォトニクスが重要技術であると判断されている。
しかし、既存のレーザ設計は、次世代集積デバイスの目標を達成するような縮小は不可能であるので、ナノフォトニクス分野における基本的な発見が必要とされている。
DTUの研究者は、Fano干渉として知られる現象を使った新しいクラスのフォトニックデバイスの物理学とアプリケーションを研究している。この物理的効果は、超高速、低雑音ナノレーザ(Fano lasers)、光トランジスタ、シングルフォトンレベルで機能する量子デバイスを実現する機会をもたらす。
今回、DTU研究チームは、Fanoレーザのコヒーレンスが、既存のマイクロレーザと比べて大幅に改善できることを示した。成果は、Nature Photonicsに発表された。
「レーザのコヒーレンスは、レーザが生成する光の色の純度の尺度である。より高いコヒーレンスは、オンチップ通信、プログラマブルフォトニック集積回路、センシング、量子技術、神経形態学コンピューティングなど多くのアプリケーションにとって重要である。例えば、コヒレント光通信システムは、光パルスの位相を使って情報を送受する、これは膨大な情報量になる」とDTU Fotonik、Center Leader of NATEC と NanoPhoton教授、Jesper Mørkは話している。
同教授はさらに次のように説明を続けている。「数µmのFanoレーザは、Fanoレーザが誘発する異常な光学状態、いわゆる連続体束縛状態で動作する。そのような状態の存在は、量子力学の初期の開発者の一部が最初に特定していたが、長年、実験的観察がなされなかった。論文では、われわれは、そのような連続体束縛状態の特性が、レーザのコヒーレンス改善に利用できることを示している」。
DUT Fotonik、シニア研究者、論文の筆頭著者、YiYuは、「観察は、いささか驚きである。連続体束縛状態は、レーザで一般に利用される状態よりもロバスト性が著しく低い。論文では、われわれは実験的、理論的に、この新しい状態の特異性を利点に利用できることを示している」と説明している。
「その目標を達成するために、われわれはDTU FotonikのKresten Yvind教授のグループと協働で、Buried Heterostructure Technologyという最先端のナノテクノロジープラットフォームを開発した。この技術により、小さな、ナノメートルサイズ域のアクティブ材料が可能になり、そこで光が生成される。一方、残りのレーザ構造はパッシブである。最終的に量子ノイズの抑制を可能にし、マイクロレーザの最高尺度のコヒーレンスとなるのは、この技術と統合されたFano共鳴の物理学である」。
この新しい成果は、集積電子-光回路でFanoレーザの利用に進む、特に新しい世代の高速コンピュータ。今日のコンピュータでは、電気信号が論理動作、コンピュータの異なる部分間のデータ転送に使用されている。しかし、抵抗損により、多くのエネルギーが伝送で浪費される。Fanoレーザの主要な役割は、電気信号を光信号に変換し、次にそれが、ほぼ損失なしでコンピュータ内で転送されること、正に今日のインターネットにおける光ファイバで行われているようにである。長期展望は、最小エネルギー消費で、遙かに高速のコンピュータチップを実現することである。
(詳細は、https://www.dtu.dk)