August, 13, 2021, 和光--理化学研究所(理研)放射光科学研究センターXFEL研究開発部門ビームライン研究開発グループビームライン開発チームの山田純平基礎科学特別研究員(大阪大学大学院工学研究科招へい研究員)、ビームライン研究開発グループの矢橋牧名グループディレクター、名古屋大学大学院工学研究科の松山智至准教授、大阪大学大学院工学研究科の山内和人教授らの共同研究グループは、大型放射光施設「SPring-8」において、「走査型X線顕微鏡」用の新しい高精度スキャン技術「X線ナノプローブスキャナー」を開発した。
研究成果は、近年、世界各所で建設・運用が進んでいるX線自由電子レーザー(XFEL)や次世代放射光施設において、ナノ分解能のX線顕微観察やX線分光分析に役立つものと期待できる。
今回、共同研究グループは、X線プリズムと反射型X線レンズを組み合わせ、試料を動かさずにX線を走査(スキャン)するX線ナノプローブスキャナーを世界で初めて開発した。X線プリズムの高い偏向角制御性と反射型X線レンズの広い視野角を生かすことで、高精度なナノプローブスキャンを可能とする画期的な技術。50ナノメートル(nm)サイズに集光した細いナノプローブにより、走査型X線顕微鏡像の取得に成功し、従来手法の10~20倍の精度に相当する1nmレベル(原子数個分に相当)のスキャン精度が実現できることを示した。
研究成果は、科学雑誌『IUCrJ』(9月1日号)への掲載に先立ち、オンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)