August, 3, 2021, Los Angels--UCLA Samueli School of Engineeringの電気工学エンジニアは、1つの波長から別の波長に光を変換する、より効率的な方法を開発した。これは、イメージング、センシングおよび通信システムのパフォーマンス改善に扉を開く。
電気・コンピュータ光学教授、Mona Jarrahiは、Nature Communicatonsに研究を発表した。
光の波長を変換する効率的な方法の発見は、多くのイメージングやセンシング技術の改善にとって極めて重要である。例えば、入射光をTHz波に変換すると、光学的に不透明な環境でイメージングやセンシングが可能になる。しかし、以前の変換フレームワークは非効率であり、かさばる複雑な光学セットアップを必要とした。
UCLA主導チームは、一般的には望ましくないが、半導体表面準位と言われる自然現象を研究することで波長変換効率を増強するソリューションを考案した。
表面準位が発生するのは、表面原子が結合する他の原子の数が不十分なときである。これにより、原子構造に断絶が生ずる。これら不完全化学結合は、「ダングリングボンド」として知られており、半導体デバイスの電荷の流れを妨害し、その性能に影響を与える。
「半導体デバイスの表面準位効果を抑制する取り組みは多かったが、それが、前例のないデバイス機能を可能にする固有の電気化学的特性を持つことには気づかなかった」とUCLAテラヘルツエレクトロニクス研究所リーダー、Jarrahiは指摘している。
実際、これらの不完全な結合が、半導体面に浅いが巨大な固有の電界を作るので、研究者は波長変換改善に表面準位を利用することを決めた。
入射光が半導体格子の電子にヒットして電子をより高いエネルギー状態へ上げる、そこで電子は自由になって格子内を跳び回る。半導体面に生まれた電界が、これらの光励起、高エネルギー電子を加速する。次に、異なる光波長でそれを照射することで得た余分なエネルギーをアンロードする。
しかし、このエネルギー交換は半導体面で起こせるだけであり、さらなる効率が必要である。この問題を解決するためにチームは、ナノアンテナアレイを組み込んだ。これは入射光を、半導体の浅い面に強く閉じ込めるためである。
「この新しいフレームワークにより、入射光が領域を横断するとき、波長変換は容易に、余分な追加エネルギー源なしで起こる」とDeniz Turanは説明している。同氏は、Jarrahi研究室のメンバーでこの研究論文の筆頭著者。
研究チームは、1550nm波長光ビームをスペクトルのテラヘルツ域に効率的に変換することに成功した、100µmの波長範囲を1㎜に変換した。チームは、その新技術を内視鏡プローブに組み込むことで波長変換効率を実証した。プローブは、詳細な生体イメージング、THz波を使った分光学にも使用できる。
波長変換におけるこのブレイクスルーがなければ、同じTHz波達成には100倍の光パワーが必要だった。これは、内視鏡に使われる細い光ファイバではサポートできない。その進歩により、光波長変換を他の電磁スペクトル域にも適用できる。マイクロ波から遠赤外波長に適用可能。
(詳細は、https://samueli.ucla.edu)