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ラマン・蛍光による超多重イメージングを高速化

July, 30, 2021, 東京--東京大学、慶應義塾大学の研究グループは、コロンビア大学他のグループとともに、細胞内生体分子を誘導ラマン散乱(SRS)により検出するSRS顕微法と、蛍光分子の発光を検出する蛍光顕微法を統合し、複雑で多様な細胞を詳細に解析する技術を開発した。

開発したSRS・蛍光統合イメージングシステムでは、分子振動周波数・蛍光励起波長・蛍光検出波長を高速に切り替えることができ、1秒間に30フレームのラマン画像・蛍光画像を取得しつつ、フレームごとに分子振動周波数・蛍光励起波長・蛍光検出波長を設定することができる。これにより、生体試料の超多重イメージングに要する時間を大幅に削減した。

 このシステムを用い、ラマン標識と蛍光標識された生細胞内の8多重イメージングを30秒以内で行うことが可能になった。これは、従来のSRS・蛍光顕微鏡と比較して20倍以上高速である。また、この手法を用いて、生きた細胞内の小器官が複雑に動き回って相互作用する様子や、多数の細胞内における小器官の空間分布を詳細に調べることに成功した。

この技術を用いることによって、複雑で多様な細胞内の仕組みをより詳細に解析することができ、生命の仕組みの解明への貢献や、薬剤開発への応用展開が期待される。

研究成果は、Elsevier社の科学誌「iScience」のオンライン版(2021年7月27日付け)で公開された。

発表の要点:
・分子振動由来の誘導ラマン散乱(SRS)と、蛍光分子の発光を検出する統合イメージングシステムを開発。同システムでは、SRS信号と蛍光を同時検出するとともに、分子振動周波数・蛍光励起波長・蛍光検出波長を高速に切り替えることが可能。これにより、超多重イメージングを高速に行うことができる。

・同システムを用い、ラマン標識と蛍光標識を施された生細胞の8多重イメージングを従来報告より20倍以上高速な30秒以内で行うことが可能になった。また、この手法を用いて、生きた細胞内の小器官の複雑な相互作用や、多数の細胞の小器官の分布を詳細に調べることに成功した。

・新技術は、複雑で多様な細胞の詳細な解析を実現するものであり、生命の仕組みの解明や、薬剤開発への応用展開が期待される。

(詳細は、https://www.t.u-tokyo.ac.jp)

研究グループ
東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻の小関泰之 教授、寿景文 博士学生、慶應義塾大学医学部薬理学教室のオダロバート 特任助教、塗谷睦生 准教授、安井正人 教授。
共同研究グループ:コロンビア大学、清華大学、ハワイ大学