July, 16, 2021, Yuseong--KAISTの研究チームは、室温で相互作用性の強い量子粒子を生成するレーザシステムを作製した。Nature Photonicsに発表された研究成果は、エネルギー損失が増加するにつれて必要となる閾値エネルギーが低下するシングルマイクロキャビティレーザシステムにつながる。
KAISTの物理学者、Yong-Hoon Choのチームが開発したシステムは、損失調整SiN基板で処理された単一の六角形形状のマイクロキャビティを通して光を照射する。そのシステム設計は、室温ポラリトンレーザの生成に帰着する。通常、これは極低温を必要とするので、この成果は画期的である。
研究チームは、この設計のもう1つの比類のない、直観に反する特徴を確認した。通常、エネルギーは、レーザ動作中に失われる。しかしこのシステムでは、エネルギー損失が増加するにつれて、レーザ発振誘起に必要とされるエネルギー量が低下した。この現象を利用すると、将来の量子光学デバイス向けの高効率、低閾値レーザの開発が可能になる。
「このシステムには、パリティ時間反転対称性として知られる量子物理学の概念を適用している。これは、エネルギー損失を利得として利用できる重要なプラットフォーム。また、古典的な光学デバイスやセンサのレーザ閾値エネルギー低下にも利用できる。同様に、量子デバイスや光の方向制御にも利用できる」とCho教授は説明している。
カギは、設計と材料である。六角形マイクロキャビティが光粒子を2つの異なるモードに分ける。1つは、六角形の上向き三角形を通過し、もう1つは下向き三角形を通過する。光粒子の両モードは、同じエネルギーとパスを持っているが、相互に作用することはない。
しかし、その光粒子は、半導体でできた六角形マイクロキャビティから供給されるエキシトンという他の粒子と強く相互作用する。この相互作用は、ポラリトンという新しい量子粒子の生成を誘発する。次に、それらが相互作用して、ポラリトンレーザを生み出す。マイクロキャビティと半導体基板の間の損失の程度を制御することで不思議な現象が生まれる。エネルギー損失が増加するにつれて閾値エネルギーが小さくなるのである。
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