July, 14, 2021, Tampere--Tampere Universityの研究者と協力者は、分光計測がどのように高速化できるかを示した。偏光をパルスレーザの波長に関連付けることで研究チームは、簡素、超高速偏光計測を利用して、光のスペクトルにおける変化を追跡できる。その方法は、光の全スペクトルをナノ秒時間スケールでスペクトル変化を計測する新たな可能性を開く。
分光法では,プローブ光の波長変化をサンプルとの相互作用後に計測することがよくある。これらの変化を調べることは、材料の特性を原子レベルまで深く理解するための重要な方法の1つである。そのアプリケーションの範囲は、天文観測や材料研究から、原子や分子の基礎研究までである。
研究チームは、新しい分光学的方法を実証した。これは、計測をスピードアップし、従来のスキームでは不可能な読み出し速度を可能にする。その成果は、Opticaに発表された。
分光計測は通常、様々な波長成分を異なる位置に分離することに依存している。そこで,スペクトルが、カメラチップと同じディテクタアレイによって読出し可能となる。このアプローチは、スペクトルの直接検査を可能にするが、大きな読み出しアレイのスピード制限のために遅くなる。研究チームが実装した新方法は、より複雑なレーザ光の状態を生成することでこの制約を回避し、したがって高速計測スキームを可能にした。
「われわれの研究は、レーザの全波長成分が異なる偏光をもつ簡素な方法を示している。この光をプローブとして使用することでわれわれは、色スペクトルの変化について情報を得るために偏光を計測するだけでよくなる」と研究の筆頭著者Lea Kopfは説明している。
研究チームが利用した手段は、レーザのフェムト秒パルスを2つの部分にコヒレント的に分割することで時間ドメインで変調することである。パルスの各々は、互いに対してわずかに時間的に遅れた異なる偏光をもっている。
「そのような変調は、複屈折結晶を使って簡単に実行される、そこでは異なる偏光が、異なるスピードで進行する。これが、われわれの方法に必要な、スペクトル的に変化する偏光につながる」と実験を実施したExperimental Quantum Opticsのリーダー、Robert Ficklerは説明している。
高速分光計側が新たな可能性を開く
研究チームは、そのような複雑な光の状態がどのようにラボで生成できるかを説明したにとどまらず、偏光分析だけを利用して特別な変化を再構成するアプリケーションをテストした。後者は最大4つの同時強度計測を必要とするだけなので、少数の高速ディテクタが利用できる。
このアプローチを使い、研究チームは、標準分光計に匹敵するが高速な、スペクトルのナローバンド変調の効果を正確に判定できる。
「しかし、可能な読み出し速度のために、われわれの計測スキームを限界まで押し広げることができなかった。われわれの変調速度によって数百万サンプル/秒に制限されているからである」とLea Kopfは続けている。
この有望な結果に立脚して、今後の仕事に含まれるのは、その考えをもっと広帯域の光、スーパーコンティニウム光源などに適用し、自然に高速変化するサンプルの分光計測スキームを全潜在力で利用するように適用していく。
「多様な方法で構造化照明へのわれわれの基本的な関心が、新たな方向を見いだした。これは、通常はわれわれが重視していない分光研究に役立ちそうである。量子オプティクスグループとしてわれわれは、われわれの量子フォトニクス実験でこれらの考えを適用し恩恵を受ける仕方についてすでに議論を開始した」とRobert Ficklerは話している。
(詳細は、https://www.tuni.fi)