July, 7, 2014, Gaithersburg--現在、傷が癒えているかどうかを調べるには医師は生検あるいは何らかの他の侵襲的技術を使わなければならない。
こうした技術は、患者を傷つけるだけでなく、狭い範囲の情報しか提供できない。しかしハイパースペクトラルイメージング技術は、健康組織と病気の組織との区別を非侵襲的、無痛で行うことができ、幅広い範囲にわたり損傷組織がどの程度癒えているかを明らかにすることができる。しかし校正基準がないことが、この技術の利用の障害になっている。
非人間でのトライアル成功を受けてNISTの研究チームは、強く求められている基準を開発するために、人間の皮膚が多様な光波長の下でどのように見えるかについての情報を収集し始めた。
相対的に狭い電磁波スペクトラムの一部、赤、緑、青の光を認識するコンシューマ向けのデジタルカメラや人間の目と違い、ハイパースペクトラルイメージのピクセルは数100の狭スペクトラル帯域の情報、UVから赤外までの情報を捉える。
NISTの研究者、David Allen氏によると、多くの波長に対して感度があるということは、ハイパースペクトラルイメージャが人の目では見えない多くの異なるものを見ることができることを意味している。例えば、治癒の指標である、人の組織の酸素量もこれに含まれる。
「この技術の潜在力は実証されているが、問題は、研究者たちが実験室間で一貫性のある成果を確認する方法が欠如していることだ。基準の開発そのものは、人の皮膚の反射率データ、特にUVと短波長赤外のデータが欠けていることが障害になっている」とAllen氏は指摘している。
国家規模で反射率を確立し維持する分光光度法プロジェクトのリーダー、Catherine Cooksey氏は、「ハイパースペクトラルで病気にかかった組織がどのように見えるかを掘り下げて研究する前に、いわゆる正常な組織がどう見えるかを知る必要がある」と語っている。さらに同氏によると、プロジェクトでは固有の生物学的な違いによる個人における変動と人による変動を定量化しようとしている。最初のNISTの研究は、28人のボランティア被検者を使用した。収集したデータには、被検者の前腕のテスト領域の写真、3つのテスト領域の反射率計測結果が含まれている。
「皮膚の反射率は、皮膚の色、組織密度、脂質含量、血液量の変化により変わる。NISTあるいは他の国立計測研究所にトレーサブルな推定測定不確実性を示すような、皮膚の反射率の研究はほとんど行われていない。われわれは幅広い多様な情報源からのよいデータを必要としている」とCooksey氏はコメントしている。
十分なデータが集まれば、NISTの研究者はそれをNISTのハイパースペクトラルイメージプロジェクタに流し込む。この装置は、実際のものの全ての分光特性を持つハイパースペクトラル領域を作り出す、今回の場合は組織の様々な回復段階。この後に、医療イメージング技術者は、この「デジタル組織ファントム」を利用して各自の撮像装置が多様な組織タイプや条件を区別、検出できるかをテストすることができる。
(詳細は、www.nist.gov)