June, 25, 2021, 大阪/ふじみ野--KDDI総合研究所と大阪大学は、MIMO信号処理方式(Multiple-Input Multiple-Output)を用いたリアルタイムでの光信号処理技術を開発し、既存光ファイバと同じ外径を有する標準外径結合型4コア光ファイバで、伝送距離がこれまでの120倍となる7,200kmリアルタイム光伝送実験に世界で初めて成功した。
研究成果
KDDI総合研究所と大阪大学は、NECプラットフォームズ株式会社との連携によりリアルタイムMIMO信号処理方式を開発し、波長多重DP-QPSK信号(Dual Polarization Quadrature Phase Shift Keying)を用いて結合型4コア光ファイバ7,200kmのリアルタイム光伝送実験に世界で初めて成功し、結合型マルチコア光ファイバを用いた光伝送距離の世界記録を120倍更新した。
今回開発したリアルタイムMIMO信号処理方式は、これまでCPU上で行っていたMIMO信号処理アルゴリズムを、光トランシーバに接続した複数の集積回路(FPGA)上に並列演算として実装した。更に長い距離の光ファイバ伝送を実現するために用いられる光ファイバ周回伝送において必要となる、光信号の周回周期と MIMO信号処理の時間同期を高精度に行い、7,200 kmに及ぶ長距離伝送においても、リアルタイムにデータ取得が可能になった。
今後、空間分割多重光信号伝送の実用化に向けては、安定な運用のためのさまざまな技術開発が求められるが、今回の成果を活用することにより、これらの開発が加速されることが期待される。
今回の成果は2021年6月6日~11日に開催された光通信技術に関する世界最大の国際会議OFC2021(Optical Fiber Communication Conference & Exposition)のポストデッドライン論文として報告された。
(詳細は、https://www.kddi-research.jp)