Science/Research 詳細

光の力で原子スケールの構造を可視化
ナノ粒子が持つ光触媒機能画像化

June, 25, 2021, 大阪/名古屋--菅原康弘教授(大阪大学大学院工学研究科)、石原一教授(大阪府立大学工学研究科/大阪大学大学院基礎工学研究科)、鳥本司教授(名古屋大学工学研究科)らの研究チームは、光照射により発生する力(光圧)を計る顕微鏡(光誘起力顕微鏡)を用いて、人工合成されたナノ粒子の近接場光を1ナノメートル(nm)以下の分解能で画像化することに世界で初めて成功した。

半導体や金属のナノ粒子は光触媒、太陽電池などに用いる光機能材料として注目されている。光を用いる走査型顕微鏡(走査型近接場光学顕微鏡)は、このような試料の光学特性を反映した画像が得られる利点があるが、原子スケールの分解能までは得られなかった。今回、光を照射した走査型顕微鏡のプローブ先端とナノ材料の間に働く力(光圧)を高感度に読み取る新しいタイプの顕微鏡(光誘起力顕微鏡)により、桁違いの高分解能を実現することが出来た。

研究チームは高性能な光触媒材料として設計された複合ナノ粒子を複数の波長の光を用いて観測し、ナノ粒子が設計通りの化学的性質を持つことを原子分解能に迫る光圧画像で確認した。超高真空中での観測を実現し、かつ光照射による熱の影響を除去する独自の工夫を加えたことが高分解能の鍵となり、光圧の3次元ベクトル像を取得することにも成功した。機能性ナノ材料の設計・評価のための新しい基盤技術として期待される成果。

研究成果は、Nature Communicationsにオンライン掲載された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)