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デジカメで鉢植え植物の精密な3次元形質を自動測定

June, 21, 2021, 東京--東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構の郭威助教らは、画像解析技術を使って、デジタルカメラで撮影された画像から鉢植え植物の3次元データを高精度で自動測定するPythonパッケージ(EasyDCP:Easy Dense Cloud Phenotyping)を開発・公開した。
 近年、植物の3次元形質を非破壊で測定するための手法が発展しているが、生態学分野ではほとんど用いられていue。その理由のひとつが、既存の計測システムは、コストが高く、大規模で、特別な装置や専用施設を必要とするためである。
 大量の個体の測定を必要とする生態学的な研究には、野外や温室で栽培した鉢植え植物を安価に高速に測定するシステムが必要。研究チームは、一般的なデジタルカメラと、市販およびオープンソースのソフトウェアを組み合わせて、鉢植え植物の撮影画像から3次元形質を自動で測定するパイプライン(EasyDCP)を開発した。EasyDCPの精度を評価するために、5種類の鉢植え植物(ホソアオゲイトウ、ツユクサ、オヒシバ、メヒシバ、ハキダメギク)の草丈と投影葉面積を、手作業での測定値と商用のレーザスキャナによる測定値とで比較した。すると、投影葉面積はレーザスキャナと同程度(Easy DCP: 決定係数 0.96、レーザスキャナ: 決定係数 0.96)、草丈に関しては開発した手法の方が正確だった(Easy DCP: 決定係数 0.96、レーザスキャナ: 決定係数0.86)。この手法は、既存の3次元形質計測システムに比べて、安価で、撮影から測定までが半自動化されており、多様なサイズの植物を計測できる。そのため、生態学的な研究をはじめ、これまで3次元形質測定が用いられてこなかった様々な植物科学分野への応用が期待されまる。
 研究成果は、Methods in Ecology and Evolutionに発表された。
論文: EasyDCP: an affordable, high-throughput tool to measure plant phenotypic traits in 3D
(詳細は、https://www.a.u-tokyo.ac.jp/)