June, 14, 2021, Peking--ラマンレーザ、ブリルアンレーザなど、スーパーモードマイクロキャビティの誘導散乱は、そのレーザスペクトルのビートノートを利用することで精密計測において比類のない利点を示している。
このビートノートは、スーパーモードのエネルギー分裂に対応しており、どんな外部摂動にも高い感度がある。しかし、中核的問題が、20年間、研究者を悩ましてきた。これらのスーパーモードマイクロキャビティレーザはシングルモードか、デュアルモードか、と言う問題である。今回、北京大学、Xiao Yunfeng教授をリーダーとする研究チームが、スーパーモードマイクロキャビティの誘導散乱レーザのレーザ発振ダイナミクスを解明し、実験的にそのシングルモード性を実証した。研究成果は、PNASに発表された。
パラドクスは、レーザ理論と実験観察の間の矛盾から発している。一方で、均質利得のためにポンプフィールドは、レーザ放射後常にクランプされていなければならないので、シングルモードレーザとなる。しかし、他方で、広く観察されたビートノートは、デュアルモードレーザ発振の証拠を示している。「このビート現象は実際、われわれが本で学習したことに矛盾するが、それは現に存在する。したがって、何か隠された物理学が存在しなければならないと考えている」と北京大学、Boyaポスドク研究者、Cao Qitaoは言う。
研究チームは、表面散乱を利用して、ウィスパリングギャラリーモードで一対のスーパーモードを構築し、超低閾値ラマンレーザを作製した。次に、アドドロップ結合構造を採用して、キャビティ内のポンプパワーを直接捉えた。これにより、ポンプフィールドのクランピング効果が初めて観察された。さらに、ヘテロダイン法を利用して、計測されたサイドモード抑圧比が30dBを超えると特性評価した。したがって、スーパーモードマイクロキャビティにおけるラマンレーザのシングルモード特性は、明白に実証された。
「これまでに観察されたビート現象の裏に潜んでいた物理学を暴くために、自己注入法を使って2つのスーパーモードのモード損失を変調した」と北京大学Ph.D学生、Zhang Peijiは言う。実験的に自己注入は、出力レーザに弱い反射率で導入された。また、イントラキャビティレーザフィールドと干渉するように出力レーザの一部が、キャビティに戻された。自己注入法により、以前観察された周期的ビート現象が時間ドメインに現れた。さらに、理論分析により、以前に報告されたビートノートが、過渡的干渉から現れた。2つのスーパーモードの同時レーザ発振ではなく、スーパーモードレーザ間のスイッチングプロセス中である。アプリケーション的には、この自己注入法は、ほぼ縮退レーザを選択的に生成し、そのSMSR改善をもたらす。
「われわれの結果は、スーパーモードマイクキャビティにおける誘導散乱のレーザ発発振スペクトルパラドックスについての以前からの議論を明確に解明した。さらに、この研究は、マイクロレーザベースの精密計測に洞察力のあるガイダンスを与え、再構成可能な光源と低消費電力光メモリへの道を開く」とXiao教授は、話している。
(詳細は、https://newsen.pku.edu.cn)