June, 11, 2021, 大阪--大阪大学大学院工学研究科の大学院生の南部誠明(博士後期課程)、上向井正裕助教、谷川智之准教授、片山竜二教授らの研究グループは、従来デバイスと全く異なる構造の超小型微小共振器デバイスを提案・作製し、波長変換により青紫色光を発生することに成功した。
近年のコロナ禍により、深紫外光による殺菌・消毒が注目を集めている。しかし、殺菌・消毒効果が高く人体に無害な波長(220~230 nm)で、高効率・長寿命の深紫外光源は実用化されていない。波長変換による深紫外光発生が有力な候補だが、従来の強誘電体デバイスでは深紫外光源は実現できない。そのため新規材料・新規構造の波長変換デバイスを新たに開発する必要がある。
これに対して研究グループは窒化物半導体に注目した。特に窒化アルミニウムは吸収端波長が210nmと短く、高い光学非線形性と光損傷耐性を有することから、波長変換用結晶として用いることができる。また波長変換領域の両側に高反射率分布ブラッグ反射器(DBR)を設けた微小共振器内で、入射されたレーザ光を顕著に増強し、両方向に発生した第二高調波の位相をそろえて取り出すことにより、弱い入射光に対しても高い波長変換効率を達成できるという特徴がある。
今回、研究グループは、窒化アルミニウムを用いた深紫外光発生用波長変換デバイス実現の第一歩として、吸収端波長以外は類似の特徴を有する窒化ガリウムを用いた超小型波長変換デバイスを提案し、微細加工技術を駆使してデバイスを作製し、第二高調波発生による原理実証に成功した。これにより新規構造の超小型波長変換デバイスの有効性が示され、殺菌・消毒効果が高く人体に無害な深紫外光を効率よく発生する超小型波長変換デバイスの実現が期待される。
研究成果は、国際科学誌「Applied Physics Express」に公開された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)