June, 1, 2021, Zurich--新たな組合せ、OCT、適応光学、ディープニューラルネットワークにより、緑内障のようなニューロン損傷眼および脳の診断向上、モニタリングが可能になる。
デューク大学バイオメディカルエンジニア(医用生体工学者)は、多研究機関コンソーシアムを主導して、眼の網膜神経節細胞の数と形状の変化を容易に、正確に追跡するプロセスを開発した。
研究成果はOpticaに発表された。
眼の網膜は中枢神経系の拡張である。神経節細胞は、眼の一次ニューロンの1つであり、視覚情報を処理して脳に送る。緑内障のような多くの神経変性疾患では、神経節細胞は退化、消失し、不可逆的失明になる。従来、研究者はOCT、音の代わりに光を使う超音波に似たイメージング技術を使用して、眼の組織の下層を見て、緑内障や他の眼病の進行を診断、追跡する。
OCTにより研究者は網膜の神経節細胞層を効率的に見ることはできるが、その技術は細胞層の厚さを示す程度の感度であり、個々の神経節細胞を明らかにすることはできない。これでは病気の進行の早期診断、迅速な追跡はできない。医者が厚さの変化を見る前に、神経節細胞の多くが消失するからである。
これを是正するために、適応型オプティクスOCT(AO-OCT)という新技術は、個々の神経節細胞を見るイメージング感度を可能にしている。適応型オプティクスは、眼を調べるときに生ずる光収差を最小化する技術。光収差は、OCTイメージングの高分解能達成を制限する主因。
「分解能を高めることで、神経変性疾患の診断が容易になる。しかし、眼と脳の研究でこの潜在的に形勢を逆転する技術を広く利用するには、画像分析がボトルネックになっていた。つまり、大量のデータが生成されるからである」とデュークのバイオメディカルエンジニアリング教授、Sina Farsiuは説明している。
論文では、Farsiuとポスドク研究者Somayyeh Soltanian-Zadehが、適応性が高く、トレーニングが容易なディープラーニングベースアルゴリズムを開発することでこの問題に対するソリューションを考案した。これは、最初に、AO-OCTスキャンから神経節細胞の形状を特定、追跡する。
WeakGCSegと名付けた、このアプローチの正確さをテストするために、チームは、健康な被験者と緑内障の被験者、両方の網膜からのAO-OCTデータを分析した。そのフレームワークは、両方のサンプルからの神経節細胞を効率的、正確に分割し、存在する神経節細胞の数とサイズに基づいてどのサンプルが緑内障眼からものであるかを特定できた。
「われわれの実験結果は、WeakGCSegが、人間の専門家よりも実際に優れていることを示した。また、立体的バイオメディカル画像を処理できる他の最先端のネットワークよりも優れている」(Soltanian-Zadeh)
診断作業に加えて、WeakGCSegは、神経変性疾患の治療のための臨床試験の実施も容易にすると、チームは楽観的に考えている。WeakGCSegは、コントロール群と比較して、治療が細胞退化を遅らせたかどうかを見ることができる。OCTだけでは、変化の最初の兆候は、数千と言わないまでも、数百の細胞が死ぬ必要がある、これは数ヶ月、いや数年かかる。
「われわれの技術では、初期の変化を定量化できる。そのような早期の効果を見て計測できるので、臨床試験は短縮される。ここには多くの可能性がある」とFarsiuは話している。
(詳細は、https://pratt.duke.edu)