May, 27, 2021, 京都--京都大学、金光義彦 化学研究所教授、湯本郷 同特定助教、廣理英基 同准教授、寺西利治 同教授らの研究グループは、レーザ光パルスをハライドペロブスカイト半導体CsPbBr3ナノ粒子に照射すると、可視光領域の光がレーザ光パルスの当たっている間のみ超高速に変調され、その大きさが近赤外領域のレーザ光で特異に増大する現象を室温で発見した。
固体中の電子状態はレーザ光パルスの照射によって変調することが可能であり、超高速な量子状態制御や光スイッチングの応用に向けて、半導体ナノ構造を中心に盛んな研究が行われてきた。しかし、従来の半導体ナノ構造では、大きな光変調が実現するレーザ光の波長領域が限定的であり、また低温での報告に留まっていた。
研究では、ハライドペロブスカイト半導体ナノ粒子における大きなスピン軌道相互作用に起因した多準位電子状態を利用することにより、室温・光通信帯波長で効率的な超高速光変調が可能であることを明らかにした。これらの結果は、次世代太陽電池材料として期待されるハライドペロブスカイト半導体が、従来の半導体ナノ構造では実現不可能であった新たな光スイッチングデバイスや光変調素子の材料としても有能であることを示した重要な成果である。
研究成果は、2021年5月21日に、国際学術誌「Nature Communications」に掲載された。
(詳細は、https://www.kyoto-u.ac.jp)