Science/Research 詳細

シングルフォトンからの光を捉える

May, 25, 2021, Houston--Raytheon BBN Technologies、MIT、Harvard University、Pohang University of Science and Technology、ICFOの国際研究チームは、Dima Efetov教授、日本のNIMSとともにシングルフォトンを検出する新しい方法を開発した。これは、センサ、通信および著しく強力な量子コンピュータプロセッサの分野で、非常に関心の高いアプリケーションの成果である。

ジョセフソン接合と呼ばれるコンポーネントの利用を中心にした研究成果は、Scienceに発表された。発見は、同チームの以前の研究に立脚している。これは既存システムよりも10万倍高感度のマイクロ波放射ディテクタについての研究。

研究リーダー、Raytheon BBN TechnologiesのKin Chung Fongは、「量子コンピューティングにおけるジョセフソン接合は、現代のエレクトロニクスにとってのトランジスタと類比的である。したがって、それは極めて重要である。われわれの新しいデバイスにより、量子コンピューティングにおけるこの基本ユニットが1個のフォトンで通信できるようになる。それは、通信速度を改善し、量子ネットワーキングやセンシングを可能にする」とコメントしている。

量子コンピュータは、実現しつつある。さらなる高速処理の有望性を解き放とうとしており、古典的なコンピュータが直面している現在の限界を克服しようとしている。これまでのところ、理論的な量子コンピュータが、固有の最適問題の解決では非常に優れていることは分かっているが、それらをより強力にするには、解決すべき技術的な制約が存在する。一例は、バックグラウンドノイズである。このためにqubitsはメモリを失い、処理中に誤りが生ずる。他の研究者は、そのノイズを問題と見ているが、研究チームは、この問題をチャンスとして研究してきた。

チームが利用した方法は、ほぼ高速道路のようなものである。そこでは超伝導電荷が自動車の役割を担い、互いにぶつかることなく高速移動できる。バックグラウンドノイズはセンターレーンの故障車のようなものであり、交通の流れを破壊する。レーンのこの混雑は、データ伝送を阻害するが、この同じ現象は、グラフェンベースジョセフソン接合デバイスを利用してシングルフォトン検出に使用できる。また、情報トラフィックは流れ続ける。その方が、データ伝送におけるリークが存在しない。すなわち、超伝導ベーススーパーコンピュータと量子コンピュータ間の連続的高速通信ができる。

研究成果は、この発見が、将来の超伝導コンピューティングアーキテクチャに向けた高速、省エネ光インタコネクトを可能にする決定的なカギであることを示しており、システムを1つのデバイスから、並列あるいは相互間インタコネクトのマルチデバイスに拡張しようとしている。

(詳細は、https://www.icfo.eu/)