May, 24, 2021, 東京--芝浦工業大学工学部機械工学科の松尾繁樹教授、徳島大学大学院社会産業理工学研究部の直井美貴教授らの研究グループは、完全に透明ではない短い波長のレーザを用いて、シリコン基板の表面・裏面を傷つけずに内部だけを加工できる条件を調査。作製した回折格子が光学的に機能することを実証した。この成果は半導体や集積回路におけるシリコンフォトニクスの技術発展に寄与することが期待される。
研究概要
5G時代やBeyond 5G時代では情報の大容量化と高速伝送化が飛躍的に発展し、半導体にはこれまで以上に多様な用途に応じた技術革新が求められる。半導体素材のシリコンウエハー製造では、情報処理や光通信システムの基盤技術として「シリコンフォトニクス」の重要性が高まっている。しかし使われる技術は表面加工に関するものが多く、レーザを用いた内部加工技術については、レーザを集光してシリコンを分断するダイシングなど一部に留まっている。この内部加工技術の光学的な応用を目指した研究も行われているが、その多くはシリコンに対して透明な波長のレーザが用いられている。
研究では、これまでの研究よりも波長がやや短く、シリコンに対して完全に透明ではない波長のレーザを用い、シリコン基板の表面・裏面を傷つけずに内部だけを加工できる条件を調査。得られた加工条件から作製した回折格子が光学的に機能することを実証した。この成果は、シリコンフォトニクスの要素技術へ発展することが期待される。
研究グループは今後、内部加工によって生じる変化の内容解明や、変化を局在させる研究、実用的な使用用途を考案・作製する研究を行う予定である。
(詳細は、https://www.shibaura-it.ac.jp)