May, 24, 2021, 東京--玉川大学量子情報科学研究所の中平健治教授と加藤研太郎教授は、量子力学的に許容される最良の方法を用いて対象物の状態を能動的に識別するという問題において、性能限界を調べるための汎用的かつ効率的な手法を世界で初めて確立した。
開発成果は、量子技術を用いたセンシングの高感度化や通信の高速化・大容量化への応用が期待され、例えば高性能な量子レーダーを開発するための解析を行う際に活用できる。
研究成果は、米国物理学会(APS)の発行するフィジカル・レビュー・レターズ誌(Physical Review Letters)に掲載された。
今回、従来とは異なるアプローチに基づいてより汎用的な手法を開発することに成功した。特に量子雑音の影響を強く受けるような問題では従来法よりも顕著に精度が向上することを、理論解析および数値実験により示した。下図は従来法との精度を比較した数値実験結果の例(色が付いた範囲内に限界性能の厳密解が存在し、この範囲が狭いほど精度が高いことを表している)。提案法は、縺れ合いなどの量子論特有の現象を明示的には利用せず対象物の確率的な振る舞いのみに基づいて計算するため、従来法と比べて直観的に理解しやすいことも特徴的である。
(詳細は、https://www.tamagawa.jp)