Science/Research 詳細

CoReLS、Ti:Saレーザ、パルス強度記録

May, 21, 2021, Daejeon--Institute for Basic Science (IBS)のCenter for Relativistic Laser Science (CoReLS)のレーザ研究者は、前例のない1023 W/cm2レーザ強度を達成した。これは、世界中の多くのレーザ研究機関が約20年にわたり追求してきた到達点である。

CoReLS 4-PWレーザは、チャープパルス増幅(CPA)ベースのフェムト秒、超高出力Ti:Sapphireレーザである。CoReLS 4-PWレーザのレイアウトでは、フロントエンドからの低エネルギーフェムト秒レーザパルスをパルスストレッチャでナノ秒パルスにストレッチ。最初のレーザパルスは、次に2つのパワーアンプで4.5Jに増幅、次に2つのブースター増幅器で112Jまで増幅された。レーザビームサイズは、一連のビームエクスパンダでビームパスに沿って増大。パワーアンプ直後25㎜、最初のブースター増幅器入口で65㎜、第2ブースター増幅器の入口で85㎜、パルスコンプレッサ入口で280㎜。パルスコンプレッサ内では、レーザパルスは、20 fs (FWHM)に再圧縮。圧縮後ピークパワーは4 PWとなった。

PWレーザビームの波面歪補償のために、2つのデフォーマブルミラーをPWレーザビームラインで利用した。最初の100㎜径デフォーマブル(DM1)は最後のブースターアンプ後に導入、その役割はフロントエンドから最後のビームエクスパンダまでに蓄積された波面歪の補正。310㎜径の第2デフォーマブルミラー(DM2)はパルスコンプレッサ後に導入し、付加的収差を補正する。収差は、パルスコンプレッサ、ビームデリバリライン、ターゲットエリアの大きな開口部のオプティクスから来るものである。ターゲットチャンバで、PWレーザビームは、有効焦点距離300㎜、f/1.1軸外し放物面鏡で強く集束された。集束スポットのイメージングと特性評価のために、集束ビームを対物レンズでコリメート。次に、集束スポットと波面評価のために、ビームスプリッタで2つのビームに分けた。伝達レーザビームの集束スポットモニタリングにはカメラを使用、反射レーザビームの波面計測には波面センサを使用した。

CoReLSディレクタ、NAM Chang Hee教授は、「この研究は、CoReLSが世界最強レーザであることを示している。達成された最高強度レーザで、われわれは実験科学の新たな、難易度の高い分野に取り組むことができる、特に理論家が扱ってきた強い場の量子電磁気学(QED)。非線形領域では、電子とフォトン散乱(コンプトン散乱)、フォトンとフォトンの散乱(Breit-Wheeler process)の新たな物理的問題を研究できる。この種の研究は、宇宙で起こる様々な天文物理学現象に直接関連しており、われわれの知識の地平のさらなる拡大に役立つ」とコメントしている。