June, 26, 2014, Houston--ライス大学の研究チームは、太陽電池に最大量の太陽光が届くようにする、高効率材料製造のワンステッププロセスを開発した。
同大学化学者、Andrew Barron氏は、ナノスケールスパイクをシリコンにエッチングする簡単な方法を見いだした。これにより99%以上の太陽光が太陽電池の能動素子に届き、そこで電気に変換できる。
ソーラパネルの能動素子に吸収される光が多ければ多いほど、生成されるパワーは多くなる。しかし光はそこに到達しなければならない。能動素子を保護するために、現在利用されているコーティングはほとんどの光を透過するが、一部は反射する。様々な方策で反射を約6%に減らしているが、反射防止膜は特定範囲の光、入射角、波長にに限られる。
ブラックシリコンは、光波長よりも小さなナノスケールスパイク、孔の高度なテクスチャ構造を持つシリコンであるが、光をほとんど反射しないので、ブラックと呼ばれている。このテクスチャにより、日の出から日の入りまで、角度を問わず効率的に光を集光することができる。
研究チームは、金属蒸着と無電界化学エッチングを必要とする2段階の工程を、室温で行う1工程に置き換えた。
これを可能にする化学シチューは、窒化銅、亜リン酸、フッ化水素と水の混合物。これをシリコンウエファに適用すると、亜リン酸によって銅イオンが減少し銅ナノ粒子になる。ナノ粒子は、シリコンウエファ表面から電子を引き寄せてそれを酸化し、フッ化水素が逆ピラミッド形状のナノ細孔を燃やしてシリコンに変える。
このプロセスを微調整すると、590nmの孔を持つブラックシリコンとなる。これは光の透過率が99%以上となっている。
Barron氏によると、スパイクは素子から保護するためにさらにコーティングが必要である。実験室では、エッチングに必要な8時間のプロセスを短縮する方法を研究している。とは言え、ブラックシリコンをワンステップで簡単に造れることで、実用性はかなり高まったとBarron氏は語っている。