April, 28, 2021, Stanford--スタンフォード大学の研究者は、光のストリームで個々のフォトンの周波数を変更、微調整して実質的に所望の色の混合にする光学デバイスを開発した。研究成果は、Nature Communicationsに発表された。これは、新しいフォトニックアーキテクチャであり、デジタル通信や人工知能から最先端の量子コンピューティングまでの領域で変更可能である。
「この強力な新しいツールにより、エンジニアは、以前にはできなかった制御性を手に入れる」とスタンフォード大学、電気工学教授、Shanhui Fanはコメントしている。同氏は、論文のシニアオーサ。
クローバーリーフ効果
構造は、フォトンの流れを運ぶ低損失の光配線で構成されている。フォトンは、一連のリング(オレンジ)に入る。ハイウエイのクローバーリーフの出口ランプのようである。各リングは、変調器を備えており、これが通過するフォトンの周波数を変更する。必要なら多数のリングを用意できる。また、エンジニアは、変調器を制御して所望の周波数変更を選択できる。
研究者が想定しているアプリケーションの中には、人工知能向け光ニューラルネットワークが含まれる。これは、電子の代わりに光を使ってニューラルコンピュテーションを実行する。既存の光ニューラルネットワークは、フォトンの周波数を実際に変えるのではなく、単一周波数のフォトンの経路を切り替えるだけである。周波数操作によるニューラルコンピュテーションは、例えば、非常にコンパクトなデバイスを可能にする。
「われわれのデバイスは、既存方法からの大きな離脱であり、小さなフットプリントでありながら驚異的な新しいエンジニアリング自由度がある」とポスドク研究者、Avik Duttはコメントしている。
光を見る
フォトンの色は、フォトンが共振する周波数によって決まる。つまりその波長の要素。赤いフォトンは、相対的に低速周波数で、650nm程度の波長。スペクトルの他端、青色光は450nm程度の非常に高速な周波数である。
単純な変更は、フォトンが500nmから、例えば510nmへシフトするという意味である。人の眼には、シアンからグリーンに見える。研究チームのアーキテクチャのパワーは、それがこれらの単純な変更ができるが、微調整により遙かに高度な変更もできる点にある。
Fanは、500nm領域のフォトン20%と80%510nm領域で構成される入力光ストリームの例を示している。この新しいデバイスを使ってエンジニアは、望むなら、500nmを73%、510nmを27%に微調整し、フォトンの総数を維持する。さらに言うと,37%と63%比率も可能である。比率を設定できるこの能力により、このデバイスは斬新で期待できるものとなる。さらに、量子の世界では、単一フォトンは、多数の色を持つことができる。そのような状況では、その新しいデバイスは実質的に、単一フォトンで、多様な色の比率を変えられる。
「このデバイスにより、任意の変更ができるとは言っても、ランダムを意味しない。そうではなく、エンジニアが必要とするいかなる線形的な変更も達成できると言うことである。ここには、大量のエンジニアリング制御がある」と論文の筆頭著者、Siddharth Buddhirajuはコメントしている。
「それは、多用途に使える。エンジニアは、周波数と比率を極めて正確に制御でき、幅広い変更が可能になる。エンジニアは、新たなパワーを入手することになる。それをどう使うかは、エンジニアの手に委ねられている」とFanは付け加えている。
(詳細は、https://news-media.stanford.edu)