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ITMO、スマートグラス向けに改良ソーラセル

April, 21, 2021, Moscow--太陽電池改善のために新しい方法を使い、研究チームは、小分子ベース有機太陽電池の機能と性能を向上させることができた。電池は、カーボンナノ構造や特殊なイオン性液体を利用することで透明に、さらに安定化することが可能である。

「グリーン」電力の世界的シェアは増加している。国際エネルギー機関(IEA)によると、再生可能エネルギーは、世界の総電力の30%になる。エンジニアは、従来のソーラパネルだけでなく、透明薄膜光活性化材料に興味をそそられる。窓に設置し、微小エネルギー生成器として利用できる。しかし、そのようなデバイスを大規模に導入するには、多くの問題を解決しなければならない。

ITMO大学物理学・工学部の研究者、Pavel Voroshilovは、「アイデアとしては透明太陽電池は魅力的に聞こえる。しかし、大きな欠点がある。それは、効率が低いことである。通常の薄膜太陽電池は、より多くの光を捕らえることができるように、透明ではない金属のバックコンタクトを持つ。透明太陽電池は、光透過性裏面電極を利用する。その場合、フォトンの一部は、透過する際に不可避的に失われ、デバイスパフォーマンスは低下する。さらに、適切な特性をもつ裏面電極を造ることは、非常に高価になる」と説明している。

ソリューション
多くの研究者が、その問題に取り組んでいる。全く新しい材料を開発するなど、複数の可能なソリューションがある。しかし、それは長く、コストのかかるプロセスである。したがって、研究者は既存技術を改善しようとしている。例えば、太陽電池の効率は、ドーピングで改善できる。特性を改善すると考えられる不純物を添加することで材料を改良することである。

「有機太陽電池では、トランスポート層にドーピングすることで、その性能が改善できることが分かっている。いわゆる作り付け電界が、それらの中に顕れ、活性層で生成された電荷をより効率的に取り出すことができる。これは、電池のコンタクト特性も改善し、より多くの電荷が電極に届く」(Pavel Voroshilov)。

しかし、これには問題がある。不純物が材料に正確に適用されるには、複雑なアプローチと高価な装置が必要になる。ITMO大学のチームは、有機太陽電池におけるその問題を解決する方法を提案した。

メガグラントプロジェクトでアメリカおよびモスクワのパートナーとともに、セントペテルスブルクの物理学者は、特殊なイオン液の利用で、カーボンナノマテリアルの制御されたドーピングというコンセプトに取り組んだ。簡単に言うと、それは一定の荷電粒子、カチオンとアニオンの組合せを含む液体である。外部からの影響により、これらの粒子はナノマテリアルの多孔質構造に浸透する可能性があり、したがってその特性とを変える。

ITMO大学の物理学・工学部のスタッフは、この方法を有機太陽電池に適用することを提案した。その実験のために、小分子ベースの太陽電池を取り上げ、非透明金属電極を多層カーボンナノチューブで置き替え、フラーレントランスポート層の厚さを大幅に増やした。

「それは、古典的な種類の有機太陽電池である。その利点の1つは、スマートグラス用に透明PVパネルを作れることである。裸眼で、それの存否が分からなくても良い。理由は、それらがほとんど可視光を吸収せず、近赤外スペクトルでしか機能しないからである。しかし、望むなら、それを青や赤に変えるための化学成分、あるいは厚さを変えることができる。その構造の透明性を保持するには、電流収集電極としてわれわれはナノチューブを使う。これは、その表面に簡単に適用できる」。

次に、研究者は、イオンゲートを使ってナノチューブフィルムをドープした。いわゆるトランスポート層にも同じことをした。ここは、活性層からトラップした電荷が電極に首尾良く到達することの保証に関与している。

「この場合、われわれは真空チャンバを使うことなく、環境条件で、これを行うことができた。必要な特性を作るために、われわれがすべきだったことは、ある程度の溶液を垂らし、弱い電荷をかけることであった」(Pavel Voroshilov)。

効率的な増強
 予想通りに、ドープしていない透明太陽電池サンプルは、極めて低い効率を示した。ナノチューブは、このアプリケーションに必要な品質ではなかった。イオン液ドープの結果として、研究チームは、同じデバイスの効率をわずかな時間で50倍に高めることができ、活性層として使用される材料で標準的な性能レベルに到達した。性能係数が処理後に1%以下であっても、チームは、その結果らヒントを得た。デバイスが改善された特性を獲得したことは重要である。チームは、同じ方法を使って、最初から高い効率を示している他の材料の特性を強化することができると考えている。

「様々なデバイスが多様な原理を利用できるように、特定数は変化する。しかし、他の太陽電池タイプの効率を同じ方法で高められると予測している」とPavel Voroshilovはコメントしている。

同氏によると、その新しい技術は、トランスポート層の厚さを増やせる。これはよいことである。トランスポート層は、荷電粒子を運ぶだけでなく、活性層を外部元素から守るからである。

今後、研究は、様々な材料で実験を行い、ドーピング技術そのものを改善する計画である。将来的には、処理に外部電圧を使う必要性を完全に放棄したいと研究者は考えている。

「われわれの次のステップは、その材料のチューニングにエネルギーを使う必要がなくなるようにすることだ。すべきことの全ては、われわれのデバイスを陽光の下に置くこと。すると、それはそれ自体で電力生成に必要な特性をもつ」とPavel Voroshilovは話している。

(詳細は、https://news.itmo.ru)