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皮下の金ナノ粒子の色変化で体内の物質の濃度変化が分かる

April, 19, 2021, Mainz--身体のバイタル値や物質濃度についての情報を継続的に送信するインプラント可能なセンサという考えは、かなり前から医者や研究者にとって魅力的であった。そのようなセンサは、病気の進行や治療の成功の継続的なモニタリングを可能にする。しかし、これまで、インプラント可能なセンサは、体内に永続的にインプラントするには適していなかった。数日から数週間で置き換える必要があった。一方、移植拒絶反応という問題もある。身体が、そのようなセンサを異物と認識するからである。他方で、濃度変化を示すそのセンサの色は、これまでは不安定であり、時間が経つと色が褪せていた。
 Johannes Gutenberg University Mainz (JGU)の研究者は、体内で数ヶ月動作可能な新しいタイプのインプラント可能なセンサを開発した。そのセンサは、特別な分子のためのレセプタで改変された色安定金ナノ粒子をベースにしている。人工ポリマ組織に内蔵されたナノゴールドは、皮下にインプラントされ、色を変化させることで薬剤濃度の変化をレポートする。

「見えないタトゥー」として情報をレポート
JGUのCarsten Sönnichsen教授の研究グループは長年、微視的フローセルの微量タンパク質検出のために金ナノ粒子をセンサとして利用していた。金ナノ粒子は小さな光アンテナとして機能し、光を吸収、散乱させる。したがってカラフルに見える。色を変えることで周囲の変化に反応する。研究チームは、埋込医療センシングにこのコンセプトを利用した。

微小粒子が浮遊してなくなったり、免疫細胞によって分解されるのを防ぐために、組織のような不変性をもつ多孔質ヒドロゲルに埋め込んだ。皮下にインプラントされると、その孔に小さな血管や細胞が成長する。センサは、組織に組み込まれ、異物として拒絶されることはない。「われわれのセンサは、見えないタトゥーのようなものであり、大きさは1ペニー以下、厚さは1㎜程度である」とCarsten Sönnichsen教授は説明している。その金ナノ粒子は赤外であるので、人の眼には見えない。しかし、特殊な計測デバイスは、皮膚を通して非侵襲的にその色を検出できる。

Nano Lettersに発表された論文で、JGU研究者は、無毛のラットの皮下に金ナノ粒子センサを埋め込んだ。これらセンサの色変化は、抗生物質の様々な用量が投与後モニタされた。薬剤分子は、血流でセンサに輸送される。金ナノ粒子表面の特異的受容体と結合することで、薬剤濃度によって色変化を誘発する。色安定金ナノ粒子と組織組込ヒドロゲルにより、そのセンサは、数ヶ月にわたり機械的、光学的に安定していることが確認された。

その新しいコンセプトは一般化可能であり、インプラント可能センサの寿命を延ばす可能性がある。将来的に、金ナノ粒子ベースのインプラント可能センサは身体で、様々なバイオマーカー、薬剤の濃度の同時観察に利用できる。そのようなセンサは、創薬、医療研究、あるいは慢性病の管理など個人化医療に応用できる。

(詳細は、https://www.uni-mainz.de)