April, 6, 2021, Raleigh--TU/e研究者Matthijs Van Gastelは、光ファイバアレイ用の新しいアセンブリ装置を開発した。
フォトニックチップは、高速でエネルギー効率のよいデータ転送のために、自動運転、医療イメージングなどのアプリケーションで重要な役割を担っている。しかし、その普及は、これらのデバイスの製造に関わる大きなコストによって、現在、阻まれている。Ph.D候補、Matthijs Van Gastelは、接着剤を使ってフォトニックデバイスをアセンブリする新しい方法を開発した。これは、サブミクロンスケールの精度である。機械工学部、制御システム技術グループの同氏は、それについての論文を発表した。
フォトニックチップは、自動運転車のセンサ、新しい医療イメージング技術など、多くの新しいアプリケーションを可能にする。フォトニックチップの大規模採用を可能にするためにますます重要になっている問題は、アセンブリとパッケージングである。これらのプロセスは、推定で、フォトニックデバイスの総コストの50%以上を占める。
特に、フォトニックデバイスへの光の入出力をガイドするために使用される光ファイバの結合は、サブミクロンアライメントを必要とするので重要である。現在のファイバアライメント法はこれらのアライメント要件に対処していない、あるいは大規模製造に適していないかのいずれかである。さらに、現在の方法は、労働集約的であり時間がかかることが多い。
光ファイバアレイ
論文で、Van Gastelは、効率的に多数のファイバをサブミクロンスケールの精度のフォトニックチップに結合する新しい光ファイバアレイについて説明している。
論文の最初の部分は、新しい光ファイバアレイの開発に焦点を当てている。このアレイでは、多数の光ファイバが隣同士に配置され、接着剤を使ってガラスプレートに固定される。現在のファイバアレイは、フォトニックチップへのサブミクロン精度アライメント達成に苦労している。光ファイバの製造品質における変動(いわゆる製造公差)を補償できないからである。新しいファイバアレイでは、ファイバの位置はカメラシステムを利用して計測され、これらの製造公差を補正する。
ガラスプレートへファイバを固定するために接着剤を使うことが可能。接着剤は、収縮しがちであり、これがファイバアライメントを阻害する。また、経年でゆっくりと形状が変化する傾向があり、これはファイバアライメントを破壊するとになる。研究チームは、シミュレーションと実験を行い、ファイバアライメントで接着剤固定の最適性を研究した。結果から、光ファイバアライメントに適した接着剤プロセスの挙動は、全く予測可能であることが分かった。
ファイバアレイアセンブリ装置の設計
論文の第2パートは、新開発光ファイバアレイのアセンブリ装置設計に焦点を当てた。このために研究者は自動化を適用した。こうすることで高精度ファイバアライメントを保証し、同時にコスト削減、スループット向上となる。
装置の設計は、最も重要なアライメント方向で、基板上にファイバを整列させるための3つの並進運動軸で構成されている。設計された高精度運動軸は、ナノメートル精度でファイバを整列できる。そのコンパクトでモジュラー設計により、アライメント装置は大型製造ラインに簡単に拡張可能である。
設計から装置へ
このPh.D研究中にVan Gastelは、装置設計を実現すハードウエアを構築しテストした。装置は、4分以内に16-ファイバアレイをアセンブルできる。従来のファイバアライメント法よりも著しく高速である。従来法では、1ファイバ当たり2分~60分かかる。
さらに、アセンブリしたアレイは、現在利用されているファイバアレイと比較して、アライメントエラーが8~18倍少ない。
したがって、この研究は、光ファイバの高速、正確、コスト効果の高いアセンブリプロセスを提供することでフォトニックチップの大規模適用を可能にする重要な一歩となる。