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MIT、グラフェンの重要な特性を発見

April, 2, 2021, Cambridge--MIT研究チームは、グラフェンの重要な(予想外の)電子特性を発見した。グラフェンはわずか17年前に発見されたが、それ以来、研究者たちはその興味深い物理特性に驚かされている。この研究は、生体適合でもある原子厚物質で構成される構造に関わるものであり、新しい高速情報処理パラダイムの到来を告げるものである。1つの可能性のあるアプリケーションは、神経形態学コンピューティングである。これは、行動から記憶まであらゆるものに関与する身体の神経細胞を複製することを狙っている。

研究は、新しい物理特性も紹介している。

「グラフェンベースのヘテロ構造は、継続して魅力的な驚きを生み出している。この簡素で超薄システムにおける特殊な強誘電性の観察は、誘電体システムについての支配的な仮定の多くに挑戦し、新しい強誘電材料世代全体に道を開く可能性がある」と論文の筆頭著者、MITのPablo Jarillo-Herreroはコメントしている。

新たな特性
グラフェンは、ハニカム構造に似た六角形整列の炭素原子の単層で構成されている。その材料の発見以来、研究者はグラフェン層の多様な構成が、様々な重要特性を生み出せることを示した。グラフェンベースの構造は、超伝導か絶縁体のいずれかとなり得る。磁性を示すことさえ発見された。

Natureに報告されたこの研究では、MITの研究チームは、バイレイヤグラフェンが強磁性体にもなりうることを示している。つまり、材料の正電荷と負電荷が自発的に分離して異なる層になる。

ほとんどの材料では、対立する電荷は相互に引き合い、結合したがる。電界アプリーションだけが、それらを反対側、つまり極に押しやる。強誘電材料では、その電荷を分離し自発的極性を生成するための外部電界は不要であり、自発的に極性が生ずる。しかし、外部電界のアプリケーションは、効果を発揮する。対立する方向の電界が、電荷を切替え、極性を反転させるからである。

これらの理由の全てにより強誘電材料は、医療超音波からRF IDカードまで様々な電子システムで利用されている。

しかし従来の強誘電材料は、絶縁体である。MITをリーダーとするチームのグラフェンベースの強誘電は、電気伝導を可能にする完全に異なるメカニズム、異なる物理学で動作する。また、それは多くの付加的アプリケーションを開く。「ここでわれわれが発見したものは、新しいタイプの強誘電材料である」とNatur論文の筆頭著者、MIT院生、Zhiren “Isaac” Zhengは指摘している。

論文の共著者、ボストン大学准教授、Qiong Ma PhDは、「従来の強誘電材料には、関連する課題がある。これは、人々が克服しようと取り組んでいたものである。例えば、強誘電相は、デバイスを小型化し続けると不安定になる。われわれの材料では、その課題の一部は自動的に解決される」とコメントしている。

重要なパターン
チームが考案した構造は、上下を原子厚ボロンナイトライド(BN)で挟まれた二層のグラフェン、バイレイヤでできている。個々のBN相は、相互にわずかに角度が異なる。上から見ると、結果はモアレ超格子と言われる固有パターン。モアレパターンは、Zhengによると「材料の特性を飛躍的に変えることができる」。

Jarillo-Herreroグループは、2018年にこの重要な例を実証した。Natureに掲載されたその研究で、研究者は二層のグラフェンをスタックした。しかし、その層は、正確に相互の上に積まれていたわけではない。そうではなく、一方がわずかに「マジック角」と言われる1.1°回転していた。結果としての構造は、モアレパターンを形成し、それによってグラフェンは超伝導にも絶縁体にもなった。これは、電界によって規定されるシステムの電子数に依存している。基本的にチームは、「グラフェンを2つの電気的極値として振る舞う」ように調整することができた。

「このモアレ構造を作ることで、グラフェンは、もはやグラフェンではない。それは、魔法のように、全く違うものに変わるのである」とMaは話している。

現在の研究で、チームは、グラフェンとBNのシートでモアレパターンを作った。それは、新しい強誘電材料となった。その構造を通した電子の動きに関わる物理学は、従来の強誘電材料のものとは異なる。

研究チームは、様々なアプリケーションに向けてその新材料の可能性を実証するとともに、その物理学の理解向上に取り組む。
(詳細は、https://news.mit.edu)