March, 31, 2021, Richmond--パシフィックノースウエスト国立研究所(PNNL)の環境に配慮する研究チームは、新世代の原子炉設計を主導している。チームは、水力、風力、太陽光とともに、原子炉をクリーンな、カーボンフリーエネルギー源と見なしている。
画期的な次世代原子炉設計のいくつかは、安全で小型、モジュラー式、可動的である。それらは宇宙飛行の電源となり、リサイクル核燃料で動作し、災害対応のポータブル発電機としてさえ動作する。一つの設計、溶融塩原子炉(MSRs)は、原子コミュニティで勢いづいている。
とは言え、これらの新しい原子炉設計のいずれかを現実にする前に、安全と動作テストを何度も行う必要がある。
オフガス副産物のリモート、リアルタイムテストと連続モニタリングを統合したPNNLのイノベーションにより、原子炉の改善とテストという骨の折れる仕事が、容易になっている。プラント運用に対処するソフトウエアパッケージと結びつけることで、その開発は、新世代原子炉設計における遠隔、ほぼ瞬間的なモニタリングの基盤となっている。
「リアルタイムモニタリングは、特に次世代原子炉の開発では、価値の高いツールである。これは、設計者が、効率的、効果的に設計し、フローループ、メカニズム、プロセスをテストする際に役立つ。また、最終的にその原子炉システムを導入する際にこれは、オペレータが、そのプロセスの理解と制御を改善するツールとなる」とPNNL化学者、Amanda Linesは説明している。
化学的レシピ
原子力発電からの重要なオフガス副産物はヨウ素である。これは、いくつかの形態で生成される。液体燃料溶融塩原子炉では、ヨウ素化合物は、原子炉からサンプルをとり、それを遠隔の研究所で分析することでモニタされる。この方法は緩慢で高価である、いうまでもなく付加的安全課題、ラボでの放射性サンプル分析の複雑さがある。リアルタイムモニタリングでは、人が直接サンプルに関わる必要がなく、危険が低減され、より効果的な代替である。
「それは、通過しなければならないステップに関して実に画期的であり、ヨウ素や他の化学種を抽出するタイムラインでも画期的である」とLinesは話している。
オフガス核分裂生成物は、全ての原子炉で生成され、ヨウ素ガスは特に懸念される。それは放射性毒であり、簡単に気化し、放出されると空中浮遊するからである。溶融塩原子炉の運用では、ヨウ素が生成されるとリアルタイムで処理され、システムから取り出される必要がある。これは、従来の軽水炉では必ずしも必要ではない。ヨウ素は燃料棒にトラップされるからである。リアルタイム取り出しを可能にするために、溶融塩原子炉プラントオペレータは、ヨウ素レベルについて継続的な情報を必要とする。
放射性ヨウ素レベルの既存の追跡プロセスは複雑であり、高価である。これは、分子レベルで化学的挙動を解くことに関係している。ヨウ素は、他の元素と絶えず結合して変形し、様々な特性の新しい分子を作るからである。
化学的フィンガープリントを確保
研究チームは、2つの一般的なヨウ素形態、ヨウ素モノクロリドと元素状ヨウ素に焦点を当て、各々を定量化する方法の選択に焦点を合わせた。目標は、生成された各ヨウ素種の化学的「フィンガープリント」を探すことである。これには、2つの一般的な化学分析技術を使用する、ラマン分光法とフーリエ変換赤外分光法である。
分光法読取りは、研究者には有用であるが、そのデータをオペレータにとって役立つ情報に変換することが重要である。
「簡単に理解できる出力を必要としている、特に分光計データで経験が浅いものにとってである」とLinesはコメントしている。
オフガスモニタリングのためのソフトウエアソリューション
チームは、既存の市販技術から高感度分光学光読取りを行い、そのデータをリアルタイムで、プラントオペレータが使える情報に変換するソフトウエアも開発した。次は、チームの計画では、これらの研究から学習したことを他の副産物ガスに拡張することである。
「最終的にこれらは、R&D取組の拡張を助ける、特に次世代原子炉の設計とテストに関してである。リアルタイムモニタリングにより、新しいタイプの原子炉は、最優先事項の問題を解決するこができるようになる」とPNNL研究所フェロー、化学者Sam Bryanはコメントしている。
(詳細は、https://www.pnnl.gov)