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ブラウン大学、唾液のグルコースレベルを検出するセンサを開発

June, 20, 2014, Providence--ブラウン大学の研究チームは、唾液のような複雑な体液のグルコース濃度を選択的に測定できる新しいバイオチップセンサを開発した。
 このアプローチは、染料化学とプラズモン干渉分光法を組み合わせている。血液ではなく唾液を使う、信頼できるグルコースモニタリングシステムは、糖尿病の管理を大幅に改善する。
 この新しいチップは、一連の特殊化学反応をプラズモン干渉分光法と組み合わせて利用している。プラズモン干渉分光法は、光を用いて化合物の化学特性を検出する手段。デバイスは、サンプル量でわずか数千分子のグルコース濃度でも違いを検出できる感度。
 同大学の工学助教授、Domenico Pacifici氏によると、血液に比べて唾液のグルコース濃度は一般に100倍低い。チップは、そのレベルの濃度で測定できる十分な感度があることが実証されている。
 チップは1インチ角クォーツでできており、薄い銀で被覆している。銀には、数千のナノスケール干渉計、各側面に溝を持つスリットがエッチングされている。溝の幅は200nm、スリットの幅は100nm。光がチップに照射されると、溝から銀の自由電子波、表面プラズモンポラリトンが立ち上がり、スリットに向かって伝搬する。この波が、スリットを通過する光と干渉する。高感度ディテクタが、溝とスリットで生成された干渉縞を測定する。
 チップ上に液体を垂らすと、光と表面プラズモン波がその液体を透過し、次にそれらが相互干渉する。これによってディテクタが検出する干渉縞が変わるが、これは液体の化学組成に依存する。溝とセンタースリットとの距離を調整することで干渉計は特殊な化合物、分子の特性を、微量でも高感度に検出するように変更することができる。
 2年前に発表された論文では、バイオチップ干渉計が水中のグルコース検出に使えることを示したが、人の唾液のような複雑な溶液のグルコースを選択的に検出することは別の問題であった。
 Pacifici氏によると、唾液の約99%は水であるが、水ではない1%が問題である。そこには、酵素、塩分、センサに反応する可能性がある他の成分が含まれている。「論文では、このセンシングスキームの特異性の問題を解決した」。解決法は、染料化学を用いることでグルコーズ追跡マーカーを作ることによる。研究チームは、チップに微小流体チャネルを加えて、非常に特殊な仕方でグルコースに反応する2つの酵素を導入した。1つはグルコースオキシダーゼ(ブドウ糖酸化酵素)で、これはグルコースと反応して過酸化水素分子を生成する。次に、この分子が第2の酵素、西洋ワサビペルオキシダーゼと反応してレゾルフィンという分子を生成する。これは、赤色光を吸収、放出でき、溶液を染める。研究チームは、赤色レゾルフィン分子を見つけることができるように次に干渉計を調整した。
 「この反応は、1対1で起こる。グルコースの分子は、1個のレゾルフィン分子を生成する。したがって、溶液のレゾルフィン分子の数を数えることができ、最初から溶液に存在していたグルコース分子の数推測することができる」(Pacifici氏)。
 研究チームは、人工の唾液のグルコースを見つけることで、この染料化学とプラズモン干渉計の組み合わせをテストした。人工唾液は、水、塩、実際の人の唾液に似た酵素の混合液。レゾルフィンの検出はリアルタイム、高精度、特異的であることを確認した。グルコース濃度0.1マイクロモル/リットルの変化を検出できた。これは干渉計だけで達成できる感度の10倍に相当する。
 Pacifici氏によると、次のステップは本当の人の唾液でこの方法をテストする。究極的には、小型の内蔵器具を作製して、糖尿病患者のグルコースレベルを非侵襲的にモニタすることである。
 また、このデバイスをインシュリン用に調整することも行っている。「原理的には、関心のあるどんな分子の発見にもこのセンサを適切に変更できる」と同氏はコメントしている。
 空気中、水中の毒物の検出、実験室で化学反応のモニタにも使える。
(詳細は、Nanophotonics)