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オタワ大学、実用的な金属ナノ構造を実証

March, 23, 2021, Ottawa--オタワ大学の研究者は、金属はフォトニクスでは役に立たないという10年来の神話の誤りを暴いた。これは、最近Nature Communicationsに発表された研究成果である。

「われわれは、金属ナノ粒子の周期的アレイの共鳴Qファクタの記録を以前の報告に比べて一桁破った」とDr. Ksenia Dolgalevaはコメントしている。同氏はオタワ大学電気工学・コンピュータサイエンス(EECS)准教授、Integrated Photonics (Tier 2)のカナダリサーチチェア。

「金属は光と相互作用する時、損失が多いということはよく知られている。つまり、電気エネルギーの散逸を起こす。その高い損失は、オプティクスやフォトニクスでの金属の利用を危うくする。われわれは、フラットガラス基板内に埋め込まれた金属ナノ粒子アレイで構成されるメタサーフェス(人工的に構造化された表面)で、超高Q共鳴を実証した。これらの共鳴は効率的な光共鳴や強化された光と物質の相互作用に使える。これは、金属がフォトニクスで有用であることを示している」。

「以前の研究では、研究者は、金属ナノ粒子アレイの有利な特性を利用できるように損失の悪影響を緩和しようとした」とEECS博士課程学生、Md Saad Bin-Alamはコメントしている。

「しかし、その試みは、アレイの共鳴Qファクタで大きな改善をもたらさなかった。われわれは、単一アプローチではなく、技術の組合せを行い、記録的に高いQファクタの金属ナノ粒子アレイを実証する桁違いの改善を得た」。

研究者によると、構造化表面、つまりメタサーフェスは、様々なナノフォトニックアプリケーションで、従来の自然なバルク材料を使っては決して探求できないような、非常に有望な見通しをもっている。センサ、ナノレーザ、光ビーム成形やステアリングは、多くのアプリケーションのわずかな例である。

「貴金属ナノ粒子で造られたメタサーフェス、例えば金や銀のメタサーフェスは、非金属ナノ粒子に対して、固有の利点をいくつか持っている。それらは、光波長の1/4以下ナノスケール容積に光を閉じ込め制御できる」とMd Saad Bin-Alamは説明している。

「興味深いことに、非金属ナノ粒子の場合と違い、光は金属ナノ粒子内に閉込め、あるいはトラップされるのではなく、その表面に集中している。この現象は科学的には、「局所表面プラズモン共鳴」(LSPRs)と呼ばれている。この特徴は、金属ナノ粒子に対して大きな優位性がある。誘電体ナノ粒子と比較すると、医療あるい科学で生体、分子検出にそのような表面共鳴を活用できるからである。また、そのような表面共鳴は、レーザ利得に必要なフィードバックメカニズムとして利用可能である。そのような方法で、ナノスケール微小レーザを実現できる。これは、将来、多くのナノフォトニックアプリケーションに採用可能である。例えば遠視野物体検出である」

研究者によると、これらアプリケーションの効率は、共鳴Qファクタに依存する。

「残念ながら、金属ナノ粒子では、高’吸収’と ‘放出’のために、LSPRs Qファクタは非常に低い」とオタワ大学物理学部ポスドクフェロー、Dr. Orad Reshefはコメントしている。

「最初、われわれは金ナノ粒子メタサーフェスの数値モデリングを実行し、数千のQファクタを得て驚いた」と、メタサーフィス構造を設計した(Md Saad Bin-Alam。
「この値は、実験的に報告され、われわれは、そのような高Qの理由を分析し、実験的実証を行うことを決定。われわれは、約2400の高Q SLR値を観察した。それは以前に報告された最大SLRs Qよりも少なくとも10倍大きい」。

「われわれの研究では、金属(プラズモニック)ナノ構造の隠されたミステリーの全てを知るには、まだほど遠いことが分かった。われわれの研究は、そのような構造は、高損失のために実際の光アプリケーションに適していないという10年来の神話の誤りを暴いた。ナノ構造を適切に設計し、注意深く実験を行うことで、その成果を大幅に改善できることをわれわれは実証した」とDr. Orad Reshefは結論づけている。

(詳細は、https://media.uottawa.ca)