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NIST、原子を静止させレーザ冷却を微小化

March, 11, 2021, Gaithersburg--NISTの研究チームは、絶対零度の上、数千分の1℃まで原子を冷却するのに必要な光コンポーネントを微小化した。これは、新世代の超正確な原子時計を駆動するマイクロチップにそれらを使う上で第1段階となる。原子時計は、GPSなしのナビゲーション、量子系のシミュレーションを可能にする。

原子の冷却とは、原子の動きを緩慢にすることに等しい。そうすると、研究が著しく容易になる。室温では、原子は、ほぼ音速、343m/sec程度で空気中を動く。その素早いランダム運動する原子は、他の粒子と束の間にしか相互作用しない、またその動きは、原子のエネルギー準位間の遷移を計測することを難しくする。原子が0.1m/sec程度でゆっくり動くと、研究者は粒子のエネルギー遷移や他の量子特性を正確に計測でき、多くのナビゲーションや他のデバイスで参照基準として利用できる。

20年以上の間、研究者はレーザ光を原子に当てて冷却してきた。これはNIST物理学者Bill Phillipsの業績で、1997年のノーベル物理学賞。レーザ光は通常、原子にエネルギーを与え、その動きを速くするが、光の周波数と他の特性を注意深く選択すると、反対のことが起こる。原子に光が当たると、レーザフォトンが原子の動きを遅くし、原子は磁界に捉えられるほどに動きが緩慢になる。

しかし原子を冷却する特性を持つようにレーザ光を準備することは一般にダイニングテーブル程度の大きな光学アセンブリを必要とする。それは問題である。このような超低温原子の利用を実験室外で利用することを制限するからである。研究室外であれば、それは超高精度ナビゲーションセンサ、磁気計、量子シミュレーションの重要な要素になるからである。

NISTの研究者William McGeheeとチームは、コンパクトな光学プラットフォームを考案した。長さが15㎝程度であり、それは1㎝幅の領域で気体原子冷却、トラップできる。他の微小冷却システムが構築されているが、これは量産容易なフラットな光学系だけに依存する最初のものである。

「これは重要である。実際のデバイス、ラボ実験の小型バージョンではないものへの道を実証しているからである」とMcGeheeはコメントしている。その新しい光学系は、マイクロチップに収まるには、まだ10倍程度大きいが、多くのコンパクトな、チップベースナビゲーションや量子デバイスをラボ設定外で超低温原子の利用への重要なステップである。

New Jounal of Physicsに掲載されたその装置は、3つの光学要素で構成される。まず、光は、極端モードコンバータというデバイスを使って、光集積回路から送り込まれる。そのコンバータは、狭いレーザビームを広げる、最初は約500nm径であるが、その幅が280倍になる。広がったビームが、今度は慎重に設計された超薄膜、「メタサーフェス」に当たる。それには、長さ600nm、幅100nm程度の微小なピラーが散りばめられている。

ナノピラーは、そのレーザビームをさらに100倍程度広げる。ビームが効率よく原子と相互作用し、原子群を冷却するには劇的な広がりが必要である。さらに、微小な空間領域でそれを達成することで、メタサーフェスは、冷却プロセスを微小化する。

メタサーフェスは、2つの他の重要な仕方で光を再形成する、光波の強度と偏光を同時に変える。通常、強度はベル形状曲線となり、ビームの中心で光が最大輝度となって、いずれかの側に漸進的に減衰する。NISTの研究者は、微小構造が強度を変え、その全幅で輝度が均一となるビームを形成するように、ナノピラーを設計した。均一輝度により、光をより効率的に利用できる。光の偏光もレーザ冷却には重要である。

広がり、再形成されたビームは、回折格子に当たり、それがシングルビームを3ペアの等しい、逆方向のビームに分離する。印可された磁界と組み合わせることでその4つのビームは、原子を反対側に押しやり、冷却原子のトラップに役立つ。

その光学系はチップ上で原子をレーザ冷却するには10倍小さくならなければならないが、実験は「それができるという原理実証である」とMcGeheeは話している。

(詳細は、https://www.nist.gov/)