June, 18, 2014, Tsukuba--NIMS国際ナノアーキテクトニクス研究拠点YAMATO-MANAプログラムの小松広和研究員と有賀克彦主任研究者・超分子ユニット長らは、RIKEN環境資源科学研究センターのアダムス英里特別研究員、Ryoung Shin(申怜)ユニットリーダーと共同で植物の細胞内におけるセシウム分布を可視化する方法を世界で初めて開発した。
環境中に放出されたセシウム、とくに放射性の137Cs(半減期30.17年)は広く社会的な問題になっている。今回開発した方法では、「セシウムグリーン」という蛍光プローブを用い、炭酸セシウム粒子をマイクロメートルレベルの高い分解能で検出可能で、細胞内部でのセシウム分布を可視化することができる。研究では一般的なモデル植物であるシロイヌナズナの細胞内において、セシウムがどの組織に局在するかをイメージングした。シロイヌナズナを高濃度の炭酸セシウムを含む培地で生育させた後、子葉にセシウムグリーンを作用させると、子葉においてセシウムの存在を示す緑色の蛍光が確認できた。さらに、セシウムグリーンの精密な位置検出特性を活かし、蛍光顕微鏡で観察した結果、セシウムは子葉の細胞内の液胞に蓄積する傾向があることが示された。
開発した手法を適用することで、セシウムの植物への輸送・蓄積メカニズムの解明や、ファイトレメディエーションに適する植物の選別・品種改良を、大きく促進できると期待できる。この手法は、「化学的性質(セシウムグリーンでの検出のされやすさ)が放射性セシウムと変わらない、安全な非放射性セシウムを用いて実行できるため、特殊な実験設備が必要とせず、汎用性の高い手法」であると研究者は説明している。
(詳細は、「ACS-Applied Materials & Interfaces」に掲載)
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シロイヌナズナ子葉の蛍光イメージ(セシウムグリーンメタノール溶液滴下)。細胞内の液胞と考えられる部位から明るい蛍光を観測。