Science/Research 詳細

NTT、現実的な装置を用いた量子力学的に安全な高速乱数生成に成功

March, 1, 2021, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)は、現実的な光学装置を使い、高い安全性を達成する高速な量子乱数生成器(QRNG)を世界で初めて実現した。
 QRNGは量子測定の確率的な性質を利用して真の乱数を作り出す装置。この乱数はもし盗聴者が量子力学的に可能な方法で盗聴を試みたとしても、その予測不可能性を保証できるという意味で量子力学的に安全な乱数にすることが可能。これまでの乱数生成レートの高いQRNGは、装置の特性を完全に把握する必要があったため、現実的な装置を使った場合でも安全な乱数を生成することができなかった。一方、現実的な装置を使ったより安全なQRNGも知られているが、乱数生成のための十分な無作為性を蓄積するまでに長時間装置を動かす必要があった。このため乱数生成を開始してから要求した乱数を実際に生成するまでに大きな遅延を生じていた。実際のアプリケーションへの応用では、低遅延で乱数生成レートが高くかつ安全性の高いQRNGが望まれ.。今回の研究成果ではアメリカ国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology、NIST)と共に、少ない実験データから効率的に乱数の保証を行う理論手法の開発と、タイムビン量子ビットと呼ばれる光パルスの到着時刻の測定を用いることで、0.1秒毎に8192ビットの量子力学的に安全な乱数を生成することに成功した。研究成果は、低遅延かつ高い乱数生成レートとともに、現実的な装置を使って安全な量子乱数生成器を実現するものである。
 研究成果は、英国科学誌Nature Communicationsに2月24日(現地時間)オンラインで掲載された。

(詳細は、https://www.ntt.co.jp)