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ORC、次世代光ファイバの並外れた特性を発表

February, 26, 2021, Southampton--サウサンプトン大学とカナダのUniversité Lavalの研究チームは、従来の光ファイバよりも1万倍程度低い最先端の中空コアファイバの後方反射計測に初めて成功した。

この発見は、Opticaに発表された。これは、中空コアファイバが、標準光ファイバを凌駕するもう1つの光学特性を際立たせている。

改善された光ファイバの研究は、数々のフォトニックアプリケーションで進歩を可能にするカギとなる。最も顕著な点は、データ伝送のために光ファイバに大きく依存している現在の技術は限界に達しつつある中で、これらが、インターネット性能を改善することになるだろう。

光ファイバに入れた光のわずかな部分が、伝搬にともない後方反射される。後方散乱として知られるプロセスである。この後方散乱は、全く望ましくないとされることが多い。それが光ファイバを伝搬する信号の減衰や航空機、潜水艦、宇宙船をナビゲートする光ファイバジャイロのような多くのファイバベースのデバイスの性能制約の原因となるからである。

しかし、後方散乱を高信頼、正確に計測する能力は、導入済みのファイバケーブルの特性評価など他の事例でも役に立つ。この場合、後方散乱を利用してケーブルの状態をモニターし、その全長に破断があれば、その箇所を特定することができる。

最新世代の中空コアNested Antiresonant Nodeless Fibres (NANF)は、サウサンプトン主導LightPipeの研究プログラムで開発され、Airguide Photonics programme内の新規アプリケーション領域に適用されているが、このファイバの示す後方散乱は、あまりに低くてこれまでは測定できなかった。

この問題を解決するために、サウサンプトン大学ORCの研究チームは、ケベックUniversité LavalのCentre for Optics、Photonics and Lasers (COPL)の研究者と協力した。COPLは、高感度光学計測器の研究を専門にしている。

開発された測定器によりチームは、最新のORC製造中空コアファイバの非常に弱い後方散乱信号を高信頼に測定することがてきた。これにより、散乱が標準ファイバと比べて4桁低いことが確認され、理論的予想に一致した。

ORCのコヒーレント光信号グループ長、Radan Slavik教授は、「ORCで研究できて非常に幸運だ。この設計と製造チーム長期にわたる世界有数の研究により、これまでに作られた中で最小損失、最大長の中空コアファイバという結果を得た。わたしの仕事は、これらのファイバの傑出した特性の計測だった。これは、能力が試されることがよくあり、計測ではUKの国立物理研究所、測定器ではUniversité Lavalなどの世界最高のグループとの協働が必要である」とコメントしている。

この研究成果を裏付けるためにORCで理論解析を行ったDr Eric Numkam Fokouaは、「最新の中空コアファイバでは後方散乱は、標準的な全てのガラスファイバと比べて1万倍小さいという理論予測の実験による確認は、そのファイバが多くのファイバオプティクアプリケーションに優位性があることを証明している」と話している。

「さらに、そのような低後方散乱信号レベルを計測する能力は、中空コアファイバそのものの開発では極めて重要である。また、製造された中空コアファイバやケーブルで分散型障害検出の重要ルート提供でも極めて重要な意味を持つ。製造工程のさらなる改善を進めるために必要になるからである。既存技術は、こうした根本的に新しいファイバで利用するには十分な感度がない。また、この研究は、こうした問題へのソリューションを証明している」と同氏は続けている。

(詳細は、https://www.southampton.ac.uk/)