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高性能純青色有機EL素子の開発に成功

January, 20, 2021, 福岡--有機EL素子は薄く軽量な自発光型面発光デバイスであり、各種ディスプレイとして実用化され広く普及しつつある。しかし、現在までに実用化されている発光分子は、青色有機EL (OLED)素子の発光効率が比較的低いことや、高効率青色素子の耐久性が低いこと、イリジウムなどのレアメタルを含むために材料コストが高いことなどの問題がある。
 これらの問題を解決する発光分子として、熱活性化遅延蛍光(TADF)分子が2012 年に九州大学から世界に先駆けて報告された。しかし、TADF発光分子の発光スペクトル幅は比較的広いためディスプレイ用途に適さないことや青色有機EL素子の耐久性が未だに低いことなどが課題となっていた。

 九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター(安達センター長、中野谷准教授、 Chan研究員、田中研究員ら)と関西学院大学(畠山琢次教授)の研究グループは、高効率かつ高速な逆項間交差速度を示す新規 TADF 分子と発光線幅の狭い純青色発光分子を組合せ、TADF 分子のエネルギーを純青色発光分子へと移動させることで、高い発光効率・色純度・素子耐久性を併せ持つ高性能な青色有機 EL 素子の開発に成功した。
 試作した青色有機 EL 素子は、最大 27%の高い外部EL量子効率とともに非常に狭い半値全幅(19 nm)のEL スペクトルを示す。さらに、この青色有機EL素子は、初期輝度1,000 cd/m2における輝度劣化時間(5%劣化)が10時間以上と、高効率青色有機EL素子としては飛躍的に高い駆動安定性を示すことを明らかにした。今後、素子構造の最適化などによるさらなる素子耐久性の向上が期待でき、ディスプレイの超低消費電力化に寄与する青色有機 EL素子を実現できると期待される。

「この研究は、高効率、高安定性を備えた純青色OLEDを報告している。優れた色純度ともに、青色ハイパー蛍光OLEDsは、将来UHD 4K/8Kディスプレイで現在の青色OLEDsに取って代わることができる」とChan研究員はコメントしている。

(詳細は、https://www.kyushu-u.ac.jp)