Science/Research 詳細

光の力でナノ粒子を一粒ずつ選別・輸送することに成功

January, 20, 2021, 札幌--北海道大学電子科学研究所の笹木敬司教授,大阪大学大学院基礎工学研究科/大阪府立大学大学院工学研究科の石原 一教授及び北海学園大学工学部の藤原英樹教授の研究グループは,数百nmまで細くした光ファイバが発生する光の力(光圧)を利用して,液体中を漂うナノ粒子を一粒ずつ捕集し,品質や特性に応じて選別・輸送する新技術の実験に初めて成功した。

ナノ粒子は,ナノサイズに特有な性質や機能を持つため,医薬品,化粧品,バイオセンサ,触媒,太陽電池,量子コンピュータなど様々な分野で応用されているが,大きさ・形・含有物によって粒子一粒ずつの品質や特性が異なるため,一層の高品質化・高性能化にあたって,所望のナノ粒子を選別・分離する技術が求められていた。

この解決に向け,研究では通常の光ファイバの1/100以下まで細線化したナノファイバに両端から波長が異なる2つのレーザ光を入射する装置を開発した。ナノ粒子の特性や含有物で光圧の働き方が異なることを利用して一粒ずつ選別・分離させる,全く新しい原理のナノ粒子選別法を実現した。

この技術で,ナノサイズのダイヤモンド微粒子を,「窒素空孔中心(NVセンター)」と呼ばれる構造欠陥の有無によってそれぞれ反対方向に輸送し,また,その動きを読み取ることにより単一粒子の高精度吸収分光計測にも成功した。この技術を応用して高品質化したナノダイヤモンド粒子により,バイオイメージング,量子センサ,量子デバイスなどの高性能化が期待される。

研究成果は, Science Advances誌に掲載された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)