January, 12, 2021, 東京--定量位相顕微鏡は計測試料による照明光の位相遅れを計測することで、細胞骨格や細胞内小器官などの形状を非標識で可視化できる技術。計測した情報を基に、成長速度などの細胞の状態を定量できる技術として幅広く利用されている。しかし、検出可能な位相範囲はイメージセンサで検出可能な光量制限に伴う光子数不確定性によって制限されており、これまで高い検出感度が求められる場面では用いられてこなかった。
東京大学大学院理学系研究科の井手口拓郎准教授らは、光の波面制御技術と暗視野顕微鏡技術を用いて、試料により生じる大きな位相遅れ分布と小さな位相遅れ分布を別々に計測することで検出可能な位相範囲を拡張する新たなコンセプトの定量位相顕微鏡を開発し、上記の制限による位相検出限界を超えることに成功した。開発した技術は、細胞内外の微粒子追跡や細胞内生体分子の動的挙動観測など、これまで計測することのできなかった微小な位相変化の計測に適用できるため、定量位相顕微鏡による新しい単一細胞解析手法の創出に発展することが期待される。
研究成果は、Light: Science & Applicationsに発表された。