December, 16, 2020, 東京--NEDOと(株)ニコンソリューションズ、筑波大学は、植物や微生物を用いた高機能品生産技術の開発(スマートセルプロジェクト)に取り組んでおり、共焦点レーザ顕微鏡システムを用いて微生物の自家蛍光シグネチャから細胞を傷つけることなく生きたままの生理的状態を高速で定量的に評価し、識別する細胞評価技術「CRIF法」および自動解析ソフトウエアを開発した。
この技術を活用することで、従来数日かかっていた微生物の生理的状態の評価が10分~60分程度に短縮され、微生物をはじめ植物や動物の細胞育種などの研究を効率化できる。酵母など微生物を活用したバイオ製品の生産や、環境中の微生物を可視化することによる水質汚染の低減、再生医療など、実社会のさまざまな産業分野への展開が期待され、地球環境にやさしい、持続可能な社会の実現を加速する。
細胞評価技術CRIF(Confocal Reflection microscopy-assisted single-cell Innate Fluorescence)法
細胞内のタンパク質や代謝産物はさまざまな波長・強弱の自家蛍光を発しており、それらを総合した自家蛍光シグネチャは各細胞の性質を表現する「指紋」として機能する。CRIF法は、反射顕微鏡法で細胞の位置および形態情報を、共焦点レーザ顕微鏡法により細胞の自家蛍光情報を取得する。1細胞ごとに画像解析を行うことで、体系的で総合的な各細胞の自家蛍光情報を抽出し、自家蛍光シグネチャとして再構築することにより、各細胞を識別する「細胞の指紋」を取得することができる。さらに、「細胞の指紋」をさまざまな種類の機械学習に供することで、自家蛍光シグネチャに潜在する細胞ごとの特徴を反映した機械学習モデルを構築することができ、高精度な細胞種の識別や、代謝状態の予測が可能であることを明らかにした。また、生育段階の異なる細胞の識別や、緑膿菌および大腸菌において1遺伝子が変異しただけの細胞も見分けることが可能になった。
(詳細は、https://www.nedo.go.jp)