November, 27, 2020, 東京--東京工業大学 工学院 機械系の村上陽一准教授と日本化薬株式会社のグループは、2種類の有機分子を組み合わせることにより、可視光を波長320~340 nmの紫外光に変換する溶液系を開発した。
同グループが2014年に世界で初めて創出した可視域から波長340 nm以下への「光アップコンバージョン(UC、光の短波長化の操作)」の基本技術を発展させることで実現した。また、UCの効率と光耐久性が用いる溶媒種類に強く依存することを見いだし(効率は最大約10 %)、その支配要因を特定しメカニズムを解明した。一連の成果は、この種の技術の応用展開に必須となる光耐久性および効率の向上指針を初めて明らかにしたものである。
波長の短い紫外光は、「日焼け」などからわかるように、エネルギーの高い光子からなるため、光触媒や人工光合成などの幅広い光エネルギー変換における作用能と有用性が高いが、自然光にはごくわずかしか含まれない。これまで可視域(波長400 nm以上)から紫外域(同以下)へのUCの報告は多く存在したが、より波長の短い340 nm以下へのUCの報告例は極めて少なく、また、より根本的問題として、UC溶液系の効率と光耐久性を支配するメカニズムはこれまで未解明であった。
研究成果は英国王立化学会の学術誌「Physical Chemistry Chemical Physics」に11月11日に掲載された。論文はオープンアクセスで無料公開されている。
(詳細は、https://www.titech.ac.jp)