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混ざり合わない混晶半導体の特異構造を利用した高効率光源を実現

November, 9, 2020, 仙台--AlNとInNを混ぜ合わせたAl1-xInxN混晶半導体の禁制帯幅波長は、深紫外線から赤外線に渡り、ウイルス不活化なども可能な各種小型固体光源の発光層への応用が期待される。東北大学多元物質科学研究所の秩父重英教授らは九州大学と協力し、非極性面Al1-xInxN薄膜の特異なナノ構造を、走査型透過電子顕微鏡、量子化学計算、空間分解カソードルミネッセンス等を用いて調べた。
 本来は互いに混ざり合わないAlNとInNは自己凝集することなく、窒化ガリウム(GaN)基板直上における初期のカチオン秩序配列を引き継いだ上で、原子層レベルで交互に配列する超格子を自己形成することを解明した。この研究成果は、混晶半導体の実力が最大限に引き出された高効率多機能発光素子の実現に寄与すると期待される。

発表のポイント
・混晶半導体の実力を最大限に発揮する高効率多機能発光素子の実現に寄与する成果。

・深紫外線から緑色までの光を呈する非極性面窒化アルミニウムインジウム(Al1-xInxN)薄膜に形成される特異なナノ構造を原子レベルで観察。

・本質的に混ざり合わないAlNとInNが、GaNへの成長初期過程において自己凝集することなく原子層レベルで交互に秩序配列する現象を解明。

・この原子配列は膜中の欠陥を大幅に減らすことができるため、高効率なAl1-xInxN発光素子を実現し得る新しいナノ構造として有望。

研究成果はScientific Reportsにてオンライン公開された。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)