June, 4, 2014, Oldenburg/Modena/Milano--有機太陽電池の光-電気変換プロセスをドイツとイタリアの研究チームが初めてリアルタイムムービーで報告した。
これはScience誌に掲載されたもので、研究チームは、電子の量子力学的な、波のような性質と、それが原子核に結合することが、有機太陽電池デバイスにおける電荷移動にとって根本的に重要であることを示した。
研究チームのリーダー、オルデンブルク大物理学教授、Christoph Lienau氏の説明は次のようになっている。
「フェムト秒、短パルスレーザで有機電池のポリマ層を照射したとき、光パルスによってポリマ分子の振動運動が誘起されるのを見た。しかし、突然、フラーレン分子も全て、同期して振動を始めた。光パルスで励起された電子波動パケットが、ポリマとフラーレンの間を前後に、一貫して振動すると考えずにはいられなかった」。ミラノ工科大のGiulio Cerulloの研究チームと協力してOldenburgのPhD学生Sarah Falkeが得たこの最初の結果を議論した研究者たちは懐疑的だった。 「そのような有機のブレンドでは、ポリマとフラーレンの界面形態は非常に複雑であり、その2つの部分は共有結合していない。したがって、室温でも振電コヒレンスが持続するとは考えないだろう。われわれは、CNRナノサイエンス研究所、Modena大学のElisa Molinariに聞き、Reggio Emiliaに協力を要請した」。Rozziのチームが行った一連の高度な量子力学的シミュレーションは、このシステムで電子雲と原子核の動きをすばらしい映像にした。これは実験で分かった振動である。「われわれの計算は、電子と原子核との結合は電荷移動効果にとって極めて重要であることを示している。デバイスの形態と組成を変えることでこの結合を調整することが、デバイス効率最適化に重要な意味を持つ可能性がある」とMolinari氏はコメントしている。
この新しい成果が直ちに太陽電池の改善につながるかどうかについては、「そのような超高速の分光研究、特に先進的な理論も出るとの比較が、有機太陽電池のプロセスを開始する基本的な現象について、極めて直接的な洞察を与えてくれた。それが、自然による光合成と非常に似通っていることが分かった。この新しい成果は、機能的な人工太陽電池デバイスに同様の現象の証拠があることを示している。概念的な前進は、今後の光を収集する人工システムの設計指針に使える」とLienau氏はコメントしている