September, 11, 2020, Saudi Arabia--現在、太陽電池は、シャボン玉に載せることができるほど薄く、軽量、柔軟に作ることができる。効率的に光からエネルギーを取り出す新しい電池は、新しい電子デバイスに電力を供給する代替となる。例えば、従来のエネルギー源が不適切な、医療用スキンパッチである。
「ロボット用の電子スキン、飛行デバイス用のセンサ、病気を検出するバイオセンサの大変な開発は、全てエネルギー源関連で制約されている。大きなバッテリ、あるいは配電網に接続するよりも、われわれは軽量、超薄型有機太陽電池を利用して、屋内外で光からエネルギーを採ることを考えた」と研究リーダー、Derya Baranチームのポスドク、Eloïse Biharは説明している。
これまで、超薄型有機太陽電池は一般に、スピンコートか熱蒸着で作製された。これらは、拡張性がなく、デバイス形状が限られる。この技術は、透明で伝導性はあるが、脆弱で柔軟性がない材料、ITOを電極に利用する必要がある。こうした制約を克服するためにチームは、インクジェットプリンティングを適用した。「われわれは、太陽電池アーキテクチャの各層に機能インクを考案した」とPh.D学生、Daniel Corzoは話している。
ITOの代わりにチームは、透明、フレキシブル、導電性ポリマEDOT:PSS(3,4-エチレンジオキシチオフェン) ポリエスチレンスルボン酸をプリントした。電極層は、光取込有機光起電材料を挟んでいる。デバイス全体は、パリレン内に封止できる。フレキシブル、防水、生体適合保護コーティングである。
Corzoによると、インクジェトプリンティングは、拡張、ローコスト製造に非常に適しているが、機能インクの開発が課題だった。「インクジェットプリンティングには、それ独自の科学がある。カートリッジとインク内の分子間力に打ち勝ち、非常に小さなノズルから極めて微細な液滴を押し出す必要がある。インクが堆積されると溶剤も重要な役割を担う。乾燥挙動がフィルム品質に影響するからである」とCorzoは説明している。
デバイスの各層にインク成分を最適化した後、性能をテストするために太陽電池をガラスにプリントした。電力変換効率(PCE) 4.73%を達成し、完全プリント電池で以前の記録4.1%を上回った。研究チームは、超薄型フレキシブル基板に太陽電池をプリントできることを初めて示し、PCE 3.6%を達成した。
「われわれの成果は、新世代の多目的、超軽量プリント太陽電池の踏み台になる。これは、電源として使え、あるいは皮膚ベース、インプラント可能な医療デバイスに組み込める」とBiharは話している。
(詳細は、https://discovery.kaust.edu.sa)