September, 3, 2020, Cambridge--新しいR2R法により軽量、フレキシブルソーラデバイスや新しい世代のディスプレイスクリーンが可能になる。
高品質、原子厚の大面積高品質グラフェンを作る新方法は、超軽量、フレキシブル太陽電池、新種の発光デバイス、他の薄膜エレクトロニクスにつながる。
MITで開発され、産業生産へのスケールアップが比較的容易であり、新しい製造工程は、その技術が成功するための要な中間「バッファ」層材料に関わる。そのバッファは、厚さナノメートル以下の超薄型グラフェンシートを可能にし、基板から簡単に分離できるので、高速R2R製造が可能になる。
そのプロセスの詳細は、Advanced Functional Materialsに発表された。
野外で安定、薄型、大面積透明電極を作る方法を見つけることは、近年の薄膜電極によおける重要な探求だった、アプリケーションは様々で、オプトエレクトロニクスデバイス、発光、コンピュータやスマホスクリーン、あるいは太陽電池のようにエネルギー生産のいずれかである。そのようなアプリケーション向けの今日の標準はインジウムスズ酸化物(ITO)、貴重で高価な化学元素をベースにした材料。
多くの研究グループがITO置き換えを見つけようと取り組んできた、有機と無機の候補材料の両方ともが重視されている。グラフェンは、原子がフラットな6角形配列になった純粋炭素形状であり、電気的、機械的特性は非常に優れており、ゼロに近い薄さ、物理的にフレキシブルで、豊富で安価な材料から作られる。さらに、シード層に銅を使い、化学気相法(CVD)により大面積シートで簡単に成長できる。これをKongのグループが実証した。しかし、デバイスアプリケーションには、最も扱いにくい部分は、ネイティブ銅基板からCVD成長グラフェンを切り離す方法を見つけ出すことができた。
グラフェン移転プロセスとして知られるこの切り離しは、シートに網目状の裂け目、皺、欠陥を生ずる傾向があり、これが膜の連続性を壊し、したがって、その電気伝導性を著しく低下される。しかし、新技術により、「われわれは大面積グラフェンシートを高信頼に造り、それを望むどんな基板にも移転できる。また、それを移転する方法は、初期のグラフェンの電気的、機械的特性に影響を与えない」とAzzellinoは言う。
カギはバッファ層である。これはパリレンというポリマ材料でできている。原子レベルで、それが導入されるグラフェンシートに一致する。グラフェンと同様にパリレンはCVDで製造されるので、製造プロセスと拡張性は容易になる。
この技術の実証としてチームは、概念実証太陽電池を作製した。新形成のグラフェン層とともに、薄膜ポリマ太陽電池材料とデバイス基板として使えるパリレン層を太陽電池の2電極の一つに適用した。計測によると、可視光でグラフェン膜の光透過率は90%に近かった。
プロトタイプグラフェンベース太陽電池は、ITOベース最先端のデバイスと比べて、重量当たりの出力電力を約36に改善する。また、透明電極の単位面積当たり材料使用量は1/200である。さらに、ITOと比較して、さらに根本的利点がある。「グラフェンは、ほぼ無料で手に入る」とAzzellinoは話している。
「超軽量グラフェンベースデバイスは、新しい世代のアプリケーションに道を開く。ポータブルデバイスを考えると、重量当たりの電力は非常に重要な性能指数だ。透明太陽電池をタブレットに導入したらどうだろう。タブレット自体の出力強化になるとしたら」。さらなる開発は必要である、そのようなアプリケーションは究極的には、この新しい方法で実行可能になる、と同氏は見ている。
バッファ材料、パリレンは、マイクロエレクトロニクス産業で広く利用されている、通常は電子デバイスのカプセル化、保護用である。したがって、その材料を使用するためのサプライチェーンと装置は広範に存在する。3つの現行タイプのパリレンの中で、チームのテストは、そのうちの一つ、塩素原子の含有量の多いものが、このアプリケーションには群を抜いて効果的であることを示した。
層が挟持されているので、塩素リッチパリレンと下層のグラフェンとの原子的近さは、さらなる利点となる。グラフェンにとっては一種の「ドーピング」であり、最終的には大面積グラフェンの伝導性改善に、より高信頼の非破壊的アプローチとなる。これまでにテストされ、報告された多くの他のものとは違っている。
「グラフェンとパリレンフィルムは、常に向かい合っている。基本的には、ドーピング作用は常時そこにある、したがってその利点は永続的である」とAzzellinoは話している。
(詳細は、https://news.mit.edu)